福岡vs山口のマッチレポート・動画(天皇杯:2016年9月7日)
一覧へ天皇杯 2回戦 2016年9月7日(水)19:00KO レベルファイブスタジアム
試合終了
20前半0
1後半1
1延前0
0延後1
2PK4
5SH10
5CK4
24FK20
2
起死回生の山口、120分の同点弾からPK戦を制して下克上
福岡は得意のカウンターから活路を見いだしたいところだったが、山口の素早い攻守の切り替えの前に、思うようにボールを前に運ぶことができない。山口も細かいパス交換から福岡の最終ラインの裏を突く攻撃が目立つも、ラストパスの精度を欠いて、なかなかシュートに持ち込むことができない。
前半の中盤以降は、ロングボールを多用した福岡が山口陣地でスローインやセットプレーを得ると、ゴールに迫り始める。25分にはショートコーナーから三島 勇太のクロスに中原 秀人が合わせるも、オフサイドの判定。30分にはスローインから末吉が鋭いクロスを送るも、中原 秀人は合わせることができなかった。
山口はボールを握り、福岡のゴール前に迫る形を再三生み出すが、シュートまで持ち込めず。結局、放ったシュートは、28分にゴール正面約25メートルの位置からルシアーノが直接ゴールを狙ったFKの1本のみ。両者合わせてもシュートはこの1本だけと、静かな前半となった。
しかし、後半早々にスコアが動く。49分、福岡のクリアが甘くなったところを突いた鳥養 祐矢が右足アウトサイドで流し込み、山口が先制点を奪う。失点した福岡だが、直後の51分、相手のトラップミスを中原 秀人が奪うと、そのままクロス。これに走り込んだ邦本 宜裕が合わせて、すぐさまスコアをタイに戻した。
追い付いた福岡は、ここから怒とうの攻勢を見せる。54分にはクロスの跳ね返りに中原 秀人がボレーシュートを放つ。61分には中原 秀人のクロスに三島が飛び込む。得点にこそつながらないが、運動量に陰りが見え始めた山口に対して主導権を奪い返した。山口は庄司 悦大、福満 隆貴、福岡も金森 健志、城後 寿をそれぞれ投入し、勝越し点を奪いにいくが、どちらにも生まれず。延長戦へと突入した。
そして103分、ついに福岡がリードを奪う。右サイドで得たFKから末吉が中央にクロスを送ると、競り合ったこぼれ球に反応した邦本が詰め、ゴールネットを揺らした。しかし、井原 正巳監督が「ゲームの終わらせ方や試合運び」という課題を挙げたように、リードを守り切るのではなく3点目を奪いに行って、オープンな展開にしてしまう。3点目を奪えないまま、試合終了が見えてきた120分、阿部 巧がクリアし切れず、ゴール前でパスワークを許すと、安藤 由翔のパスを受けた星 雄次が左足で蹴り込む。山口が土壇場で追い付き、勝敗はPK戦に持ち込まれた。
先攻となったのは福岡だが、2人目の實藤 友紀、3人目の城後のキックを、いずれも一森 純が素晴らしい反応でセーブ。また、山口は蹴っても1人目から4人目まで全員が神山 竜一の逆を突く冷静なキックを見せ、成功する。
120分の激闘、さらにPK戦までもつれ込んだ戦いは、J2の山口がJ1の福岡に対して下克上を達成した。勝利した山口の上野 展裕監督は「選手たちは最後まで諦めずに、負けている状況でもトライしてくれました。それがこういう結果につながった」と選手の姿勢を評価した。
[ 文:杉山 文宣 ]