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【J2日記】横浜FC:アレモンが少し微笑んだ夜(12.07.08)

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アレモン選手のゴール後のパフォーマンスにあやかり、羽田空港でタンメンを注文。

2006年のJ2優勝に大きく貢献したアレモン選手。写真は2006年8月19日vs山形戦より

7月8日というのは、横浜FCとそのサポーターにとって特別な日なのをご存じでしょうか。この日は、かつて京都、そして横浜FCに所属したアレモン(カルロス・アドリアーノ・デ・ジョス・ソアレス)の命日なのです。

2006年、横浜FCがJ2優勝を果たしたシーズンの6月28日に京都から期限付き移籍。その年の昇格争いのデッドヒートの中で24試合で18点を挙げ、特に少ない得点で勝利することが多かったシーズンにおいて、勝利に直結する驚異的な決定力を見せつけた選手です。その実力だけでなく、サポーターに愛される陽気さを持っていて、横浜FCでゴールをした後に見せる「お前に食わせるタンメンはねぇ」のポーズのパフォーマンスは、横浜FCのサポーターの心を捉えて離しませんでした。2005年シーズンには京都のJ1昇格にも大きな貢献をしており、京都でも愛されてました。

J1に昇格した2007年も横浜FCは契約を希望するもまとまらず、アレモンはブラジルに帰国。名門パルメイラスに所属することになりましたが、3月の十字靱帯断裂のケガで試合には出られず。そして、7月8日の深夜に乗っていた自動車が交通事故に遭い、アレモンは帰らぬ人となりました。日本で残した鮮烈な思い出だけでなく、まだ23歳とこれからが期待される年齢だっただけに、惜しまれる死でした。横浜FCでは7月10日に三ツ沢球技場に献花台を設け、サポーター、選手など多くの人が雨の中駆けつけました。

横浜FCサポーターの間では、7月8日のアレモンの命日には、毎年その死を惜しんでいます。それほどに愛されている選手でした。今年の7月8日を迎えるにあたっても、タンメンを食べてアレモンをしのぶサポーターも多かったようです。
今年の7月8日は、アウェイ・kankoスタジアムでの岡山戦の日。今年は、アレモンと戦った2006年と少し状況が似ています。シーズン当初に監督が交代し、そこからチームは少しずつ力を付けて、昇格争いに加わろうとしています。試合の雰囲気も練習の雰囲気も、徐々に2006年に近くなってきたような気がします。そして、現在の横浜FC監督は、2006年には選手としてアレモンと共にJ2優勝を成し遂げた山口素弘監督。2006年に戦った仲間で、選手として残っているのは三浦知良、難波宏明、内田智也。コーチとしては田北雄気GKコーチが残っています。お気づきになった方もいらっしゃるかもしれませんが、シーズン前の集合写真も2006年と今年だけ、雪の中で撮影されています(※現在の集合写真は、山口監督で撮影し直されています)。

私も、岡山への取材に向かう途中の羽田空港第1ターミナルビルにあるラーメン屋でタンメンを注文(写真)して、すこし願掛けをしました。実際の岡山との試合は岡山の洗練された戦い方の前に、横浜FCの武器であるポゼッションが全く出せない状態。堅い岡山の守備を破ることは無理かと思われました。しかし、62分、DFラインの裏に抜け出した野崎陽介が、冷静にキーパーとの1対1を制して決勝点を挙げます。まるで、2006年にアレモンが得意とした、DFラインの駆け引きから裏に抜けて1対1を制するのと同じように。

試合後の監督記者会見で、私は逡巡しながらも山口監督に以下の質問をぶつけました。

Q:決勝点となった野崎選手のゴールについて。06年に山口監督が戦った時のアレモンのゴールを彷彿させるゴールだと感じたのですが。
「アレモンは僕自身も一緒にプレーしていましたし、彼の命日であることは知っていました。野崎はああいったプレーが得意で、途中から入っても同じテンションでやれる。素晴らしいゴールだったと思いますし、パスを出した中里もいいところに出したと思います。
(Q:思い出すものはありますか?)
そうですね。これからもっともっとタフな、プレッシャーのかかる状態になっていくかと思いますが、そういう時に数少ないチャンスを決めるというのは、アレモンもそういう選手でした。そういった意味ではダブるかもしれないですね」

山口監督は、アレモンの命日をしっかり憶えていました。そして、厳しかった2006年の戦いに近い今後の戦いに向けて、アレモンと戦った日々を改めて思い起こして、さらに闘志をかき立てているに違いありません。この岡山戦でアウェイ8連勝を達成。順位もついに7位に上がり、上が見えてきました。もちろん、それは普段の練習の成果の賜物ですが、この日の完璧な岡山から奪った勝点3には、少しアレモンが微笑んでくれた力添えもあったのではないかと感じました。今年のJ2は混戦で、横浜FCは急激に勝利を重ねていますが、本当に戦いが厳しくなるのはこれから。最後の最後まで全力を尽くして、もしかしたら昇格できる順位に手が届くという感じでしょう。ただ、少なくとも2006年と同じような良い緊張感が味わえそうな位置には上がってきました。冬に、アレモンに良い報告ができるようにならないといけないとも改めて思いました。

以上

2012.07.08 Reported by 松尾真一郎
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