「中断明けの一発目の試合はこれから7月を戦う上でとても重要で気が抜けない。1位で折り返したかもしれないけど、もう一度自分たちがやったサッカーを思い出すためにも内容のある試合をしたい」(槙野智章)。
Jリーグはワールドカップのために約2ヶ月間の中断を迎えたが、今週末にいよいよ再開。首位ターンを決めた浦和は新潟と対戦するが、槙野が気合を入れたようにこの一戦は今後を見据えた上でも非常に大事になる。浦和は新潟戦を終えたら翌週のミッドウィークで徳島と対戦し、続いてホームの鹿島戦、ホームの神戸戦、そしてアウェイの川崎F戦と難敵との一戦が目白押しなのだ。鹿島、神戸、川崎Fは現時点でいずれも浦和から勝点5差とすぐ後ろに迫ってきている。中断明けに迎える強敵との連戦で躓くと、終盤の優勝争いで星勘定が苦しくなる危険性がある。逆にこの厳しい日程をうまく乗り切れればタイトル争いで優位に立てるだけに、まずは一発目の新潟戦で弾みを付けたい。
新潟には2006年7月を最後に15試合負けていない。さらにはホームではこれまで8勝2分けと過去に一度も負けたことがない。過去の戦績だけ見れば圧倒的に優位な一戦になるが、そんな風に感じている選手は一人もいない。槙野が「結果がついていても内容がよくないのが新潟戦」と話すように、新潟との最近の試合では常に苦戦を強いられている。昨シーズンは1−0、2−0と2連勝を収めたが、いずれの試合も新潟のパフォーマンスが浦和のそれを凌駕していたと言っても過言ではない。今年もヤマザキナビスコカップで新潟とぶつかった時には1−0で白星を飾ったものの、やはり手を焼かされた。新潟との一戦はいつでも一筋縄ではいかない。そのため、今週17日の練習前にはミーティングを1時間みっちり行い、「今までは少し自分たちの嫌なところを突かれていたので、特に守備に重きをおいて、スライドだったり、誰が誰に付くとか、細かいポイントをビデオを見ながら確認した」(槙野)。その成果が試合で発揮されるかどうか注目して見ていきたい。
対する新潟は浦和と勝点7差の8位で中断期間を迎えた。黒星はリーグ最少の2試合のみだが、引き分けの数がリーグ最多の7試合。すでに昨シーズンの数(4試合)を上回っており、勝ち切れない試合が多い。接戦をものにできない原因はやはり決定力不足にある。総得点14はリーグワースト4位の成績。昨シーズン、川崎Fの大久保嘉人と最後まで得点王争いを演じた川又堅碁が、今年は14試合で3得点と苦しんでいるのがそのままチームにも大きな影を落としている。
その川又とコンビを組む鈴木武蔵、岡本英也や田中達也もそれぞれ1得点。中断期間にスペイン3部のバレンシア・メスタージャから指宿洋史を補強したことからも、前線の爆発力に悩みを抱えていることがわかる。新潟は強度の高いプレーを保てる好チームだ。前線から厳しく相手にプレスをかけ、時間とスペースを奪って自由を与えない。布陣もコンパクトに保たれ、球際にも強いため、守備で大崩れすることは考えにくい。柳下正明監督の元、いい守備からいい攻撃につなげていくというモダンなスタイルを継続しており、そう簡単に隙は見せない。浦和としては息の詰まる膠着状態に持ちもまれたとしても、そこで慌てないこと。柏木陽介も「攻撃では相手がプレッシャーに来てなかなか良いチャンスを作れないかもしれないけど、我慢していたら絶対にチャンスは来る」と持久戦を覚悟している。
新潟の厳しいプレスをかわせるかどうかは勝敗に関わる重要なポイントになるだろう。ハメられて追い詰められる展開になると苦戦は必死だが、うまくかわすことができれば、相手は体力を無駄に消耗し、守備にほころびも生まれやすくなる。そのためには後方でのビルドアップの質を高めていくこと。槙野は「前からハメてくるチームに対しては後ろの僕らの持ち運びが重要になってくる」と力を込める。浦和のパス回しと、新潟のプレッシング。どちらの特徴が相手を凌駕するのか、それはこの試合の大きな見どころになる。
以上
2014.07.18 Reported by 神谷正明
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