まずはこの試合で勝利を収めなければ何も始まらない。自分たちは勝って、他会場の結果を待つ。そう強い意識で試合に入った柏が勝利を収め、埼玉スタジアムでは名古屋が浦和に敗れたことによって、柏が逆転で決勝トーナメント進出を果たした。
柏は前線の3枚がパスを受けに降りる、裏へ抜け出す、斜めに入るなどの工夫や、ダイレクトプレーやスルーを入れて攻撃に変化を与えようとする姿勢こそ見られたものの、「パスの出しどころの数も普段に比べたら少なかった」(茨田陽生)と、この日の暑さによってやや反応の遅れが出たのか、わずかに噛み合わないシーンが見受けられた。
対する徳島は5バックと中盤で守備ブロックを作り、ボールを奪ってから縦に速く攻める明確な攻撃意図を持つ。17分、柏守備陣のパスミスを高い位置で奪ったショートカウンター、21分の右サイドのスペースを使ったカウンター、そして24分、柏の最終ラインと入れ替わる形で裏を付いた宮崎光平の折り返しを衛藤裕がスライディングシュートを狙うなど、いずれも得点には至らなかったが、堅い守備からカウンターを仕掛けるという徳島の思惑通りにゲームが進んでいく。
ボールを支配しながらも、徳島の守備ブロック攻略に苦しむ柏。その流れが大きく変わったのは40分のPKである。「かなりギラギラしていたので、これはどっちかに跳ぶなと思った」と、元チームメイトである徳島GK川浪吾郎の心理を読んだ田中順也が、フワリと浮かしたシュートをゴールのど真ん中に決めて柏が先制した。
さらに、後手に回ってしまった徳島の守備に柏が追い打ちを掛ける。左のスペースへ飛び出した大谷秀和が折り返し、中央の工藤壮人がワンフェイクを入れた技ありの反転シュートでニアサイドを射抜き、追加点。工藤の駆け引きと一連の動きが見事だったのは確かだが、大谷と工藤に対する寄せの甘さは徳島にとっては悔やまれるところだ。
「2点目を取られてしまい難しくなった」(小林伸二監督)と言うように、前半の2失点は徳島にとって大打撃となる。後方に人数はいるがマークを捕まえ切れず、球際にも強く行けない。1度目の攻撃を弾き返しても、ラインを押し上げられないからセカンドボールが拾えない。したがって柏の2次攻撃、3次攻撃を浴びる。やはり、この酷暑が選手のメンタル面に普段以上のダメージを与え、それが徳島のパワーを削ぎ落したようにも見えた。
柏の前線3枚は、そんな徳島の守備の隙を突き、生じ始めたスペースに入って起点を作り出す。中でも抜群の存在感を放ったのがレアンドロだ。ボールを収め、タメを作り、捌く。シンプルだが実に効果的。これによって柏の攻撃が活性化し、54分にはレアンドロのポストプレーが大谷の縦への突破を誘発した。大谷のドリブルシュートのこぼれ球を工藤が詰めて3−0。そして67分、高山薫のクロスをファーサイドのレアンドロが頭で合わせて4点差と一気に畳み掛け、勝敗を決定付ける。
徳島は那須川将大の投入でアレックスを1列上げ、続けて津田知宏を送り込んだことで前への意識を強め、83分には大崎淳矢の強烈なシュートが決まって一矢報いたものの、柏の優位は動かず、4−1で柏が勝利を収めた。
この試合では、結果的に大差が付いてしまったが、開幕当初に比べれば「組織だったことはできるようになっている」と小林監督は話し、川浪も「5月の戦いで、やらなければいけないことははっきりした」と言う。
柏もまた、ネルシーニョ監督が明言した通り、「J1を良い順位で終えるということ、ヤマザキナビスコカップの予選リーグを突破するという中断前2つの目標を実行できた」と最低限の目標はクリアした。
両者の現在置かれている状況は異なる。ただ、中断期間を迎える上で、今後自分たちが何をすべきか、最終的な目標達成のためどうレベルアップしていくのか、そこは柏も徳島も道筋は見えてきた。そういう意味では、決勝トーナメント進出を決めた柏だけでなく、徳島もここ数試合からは後半戦の巻き返しに向けて多くの収穫を手にしたのではないかと思う。
ワールドカップの熱狂に酔いしれる1カ月が始まる前に気の早い話だが、ここで得た収穫と課題を向上・改善し、再開後にはより質の高いパフォーマンスを見せることで、選手たちにはJリーグを大いに盛り上げてもらいたい。
以上
2014.06.02 Reported by 鈴木潤
J’s GOALニュース
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