今季のJ２流行語大賞間違いなしの「ガンバ効果」。遠藤保仁、今野泰幸、宇佐美貴史らスター選手を抱えるビッグクラブの集客効果は絶大で、J２各クラブのスタジアムで次々と最多入場者記録を更新、集客に悩むJ２地方クラブの懐をほかほかに温めるという社会現象を巻き起こした。

できることならG大阪にはこのままずっとJ２にいてほしいと願うが、淡い期待とは裏腹に最終戦を待たずJ２優勝そしてJ１復帰をあっさりと決めてしまった。G大阪のJ２ラストゲームの相手は、熱血野郎・秋葉忠宏監督率いる20位群馬。幸か不幸かG大阪のJ２卒業式に立ち会うことになった群馬は、名物鳥めし弁当とともに黒星の土産を持たせてG大阪を送り出す。

今季、残留争いに甘んじた群馬は、つい１カ月前まで最終節G大阪戦が怖かった。残留争いが最終戦までもつれた場合、群馬にとってG大阪はあまりにも残酷な対戦相手だったからだ。しかし群馬は40節鳥取戦のドローによって、なんとかJ２残留を達成。幸いにもノープレッシャーで名門を迎えることとなった。

G大阪討伐の旗手は、エース平繁龍一とブラジル人ストライカー・ロビーニョだ。平繁は、広島に在籍した昨季５節G大阪戦で２ゴール、群馬に移籍した今季15節でも１ゴールを決めるなど相性の良さを発揮。現在J２得点ランク９位タイの13ゴールをマークしている平繁は「ガンバ戦では、なぜか取れちゃうというのはある」と自信をみなぎらせる。

一方のロビーニョは７月の加入から約５カ月が経過。日本の環境に慣れてきたことでようやく本来の実力を発揮し始めている。ロビーニョは、2011年に群馬からG大阪へ移籍したラフィーニャと似たタイプのストライカー。ラフィーニャよりもパワーは劣るが、一瞬のスピードは上。現在絶好調のロビーニョは「G大阪戦は自分にとって大きなチャンス。チームの勝利に貢献できれば可能性は広がる。最終戦で優勝チームを倒してシーズンを終えたい」とキックオフを待つ。G大阪サポーターには、群馬の優良ブラジル人の“品質”を確認してほしい。

群馬は今月９日に櫻田和樹の現役引退を発表。G大阪戦は、在籍９年のフィールド最年長選手・櫻田の引退試合も兼ねる。この試合でスパイクを脱ぐ櫻田は「ザスパがJ１に昇格しない限り、この先ガンバと戦うチャンスはないと思う。だから引退する自分より、若い選手に経験を積んでほしい。自分は出ても出られなくてもチームの勝利のために与えられた役割を果たすだけ」とチームに身を捧げる。群馬は、櫻田の花道を勝利で飾るためチーム一丸となる。

G大阪は遠藤、今野の日本代表コンビの欠場が濃厚。その情報を聞いた秋葉監督は不満を隠さなかったが、次の瞬間には得意のポジティブシンキングを発揮。指揮官は「遠藤や今野がいなくてもガンバはガンバ。ガンバを倒せばクラブにとっては歴史的勝利になるし、その価値が変わることはない。アグレッシブな戦いで勝点３を奪う」と豪語した。今ゲームのチケットは発売と同時に完売、群馬J２昇格後初の１万人超えが予想される。群馬は、このような環境を与えてくれたG大阪への感謝をピッチでの戦いで表現する。G大阪のJ２卒業式は簡単には終わらない。

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2013.11.23 Reported by 伊藤寿学