長かったリーグ戦もいよいよ最終節。北海道にはまだ雪が舞っていた３月にスタートし、暑い夏などを経て再び雪が姿を現したこの１１月にフィニッシュ。時が経つのは何とも速いものである。

そんなこの第４２節では現在勝点６３で７位につける札幌が、同４８で１６位の北九州をホームで迎え撃つ。札幌にはＪ１昇格プレーオフ出場権のある６位以内に入る可能性が残されており、シーズンがこの試合で終わるのか否か。さらには来年のディビジョンがどうなるのか。あらゆる意味で分岐点となる重要な一戦となる。Ｊ１昇格プレーオフ進出のための細かな条件は別ページ通りだが、大まかに言ってしまえば、この試合に勝てばほぼ確実に６位以内に滑り込めるシチュエーションだ。舞台は整ったと言っていい。大注目の試合である。

その札幌の直近試合は２０日に行われた天皇杯４回戦の甲府戦（●０−１　うまスタ）。ウィークデーに九州でカップ戦をこなすという難しい状況ではあったが、財前恵一監督はリーグ戦をも考慮し、ここではターンオーバーを敢行。若い選手を積極起用したり、負傷から復帰したばかりのブラジル人ＤＦをディフェンスリーダーに据えるなど、この試合以降も見据えたマネジメントをしながらもＪ１の甲府と接戦を演じてみせた。

そうした意味では、この北九州戦を見るにあたってより参照すべきは１７日に戦ったリーグ戦の前節、岐阜戦だと言えるだろう。千葉（３９節　○１−０）、神戸（４０節　○１−０）と上位を続けて撃破して挑んだ試合。「今シーズンのウチは上位相手にはいい戦いをしながらも、自分達よりも順位が下のチームには取りこぼすことが多かったので、しっかり戦わなければいけない」（杉山哲）と気を引き締め、エース内村圭宏の２得点などで３−０のスコアの完勝をしている。

今シーズンの札幌は２連勝こそ何度も達成しながらも、３連勝までは一度も果たすことができずに終盤戦まできた。そのチームがここにきて千葉、神戸、岐阜といったタイプの異なる相手からの３連勝。それもすべて完封である。これはもう完全に勢いづいたと見ていいだろう。この最終節に向けては「とにかく勝つしかない。全員でしっかり準備していこう、と選手には話している」と財前監督。開幕前から掲げてきた目標の達成に向けて、全力でチャレンジする構えだ。

一方、アウェイの北九州の前節はホームで鳥取に２−１で快勝。こちらはプレーオフ進出の可能性は残されていないが、今シーズンのホーム最終戦を白星で飾った直後ということで、いいメンタリティにあることは間違いない。

そんな鳥取戦は前半途中に池元友樹が先制点を挙げると、後半立ち上がりには前田和哉が追加点。その後、１点を返されてしまったものの、危なげなく逃げ切ったと言っていいだろう。攻守ともに引き締まったゲームだった。

そうして迎える最終節を前に、柱谷幸一監督はシーズンをこう振り返っている。
「４−４−２（のシステム）でずっとやってきて、チームとしての戦い方であったりだとか、考え方っていうのは、ブレずに、ずっとやってきたというのが、チームとしてのまとまりっていうのは、結構、非常に出てきたんじゃないかなと思います」

得た勝点によって各チームの順位というのはどうしても違いがあったり、差が出てしまうもの。しかしながら、ここまで４１試合を重ねてきたという部分だけはどのチームにも共通しているもの。最後の節で自分達の目指すものを存分に表現しようという高いモチベーションは、プレーオフ進出の可能性が残されていようと、そうでなかろうと変わらないはず。札幌に一泡吹かせるべく、北九州は自分達の重ねてきたものをフルでぶつけてくるはずだ。

試合の焦点となりそうなのは、「絶対的に勝点３が必要な試合だと思っている」と指揮官が発するように、札幌にとっては基本的には勝たなければいけないゲームであるという部分か。どこかの局面では必ず得点を取りに出なければいけないわけで、要するに、札幌にとってのポイントは得たチャンスをしっかりモノにできるか否か、だろう。好機を逃し続けるようであれば、バランスを崩して背後を狙われる可能性が大幅に高まるわけで、アウェイの北九州が固く戦いながらゲームをコントロールする展開へとなりかねない。そしてもし先制点が北九州に転がり込むようであれば、その状況はより顕著になる。ホームの大声援を受ける札幌が、その勢いをしっかり数字へと結びつけることができるかどうか。

さあ、いよいよリーグ戦の最終順位が確定する。運命の瞬間を目撃するべく、スタジアムに足を運んでみよう。

以上


2013.11.23 Reported by 斉藤宏則