11月17日、第41節・愛媛戦。左アキレス腱断裂のケガを乗り越えて、水谷雄一がピッチに戻ってきた。10月下旬から全体練習に合流して準備を整えてきたとはいえ、公式戦のピッチに立つのは第17節・熊本戦(6月1日)以来170日ぶりのこと。それでも水谷は、戦列を離れる前と変わらぬプレーを披露。56分には渡辺亮太(愛媛)との1対1の場面でシュートをブロックする好プレーも見せた。
「ピッチに立てたことは本当にうれしい。初めて大きなケガをして、不安なことばかりだったが、こうやって普通にピッチに立てることに関して、メディカルのスタッフに本当に感謝している。また、アビスパサポーターの方たちにも、いろいろと励ましてもらった。まずピッチに立てたことで、自分を支えてくれた人たちに安心してもらえたのではないかと思っている」とは試合後の水谷の言葉。その表情にはプレーできる喜びがあふれていた。
しかし試合は1人少ない相手に2点のリードを奪いながら、終了間際の失点もあり引き分けに終わった。リードを奪った途端にチーム全体に消極的な姿勢が生まれ、自らリズムを放棄し、最後は相手のペースに巻き込まれて終了間際に失点して勝点を落とすのは、今季何度も見られた展開。そして、この日の愛媛戦でも同じことを繰り返した。
「勝負どころで頑張れない。踏ん張りどころで踏ん張れない。そして失点したことで、それまでできていたことが全くできなくなる。今季のチームを象徴しているゲームだった。メンタルの弱さなのか、何かほかに原因があるのか…。人数も、こちらが多かったので慌てる必要はなかったが、ああいう1点が流れを変えてしまったのかなと思う。0で抑えなければいけない試合。失点で、そのまま相手に飲みこまれてしまって、逆に、急にうちのほうが10人になったみたいな感じがした。有利に進められるはずの試合を自分たちで壊してしまった。こういうゲームを勝ちきれないと上には行けない。試合の中であってはいけないことが起こっている。だから、昇格に届かなかったのだと思う。個人個人が変わっていかなければ何も変わらないと思うし、このままなら、来季も同じことが起こってしまう」
水谷の言葉は厳しい。しかし、それはアビスパを強くするために、もう一度レベルファイブスタジアムをいっぱいにするために、アビスパでのプレーを選択した水谷の想いから来るものだ。
「僕のプロ生活を充実させてくれたのはアビスパ。このチームでプレーしたいという想いがずっとあったので、ここで練習できているのが純粋に楽しい。試合に出る、出ないに関係なく、僕の仕事は自分が経験してきたことをクラブに伝えること。それがクラブが変わる力になれればと思って帰って来た。レベルファイブスタジアムにお客さんを戻したい、自分の願いは本当にそれだけ。だから、クラブも、選手も、全体が危機感を持って変わらないといけない」
これは、開幕前に水谷が話していた言葉。その想いは今も変わらない。ピッチでプレーする時も、辛いリハビリに明け暮れた毎日も、そして復帰第1戦となった愛媛戦でも同じだった。だからこその厳しい言葉だ。
今季も残すところは1試合のみ。11月24日にレベルファイブスタジアムで岡山を迎える一戦が最終戦になる。そこで自分たちの勝負に対する想い、姿勢、態度を示すことが重要だと話す。
「鳥取戦(第37節)の後、自分たちはピッチで示すという行動をした。それをもう一度考えてプレーしなければいけない。厳しい言い方かもしれないが、このままなら口だけになってしまうし、行動したからには選手として結果を出さなければいけない。クラブが厳しい状況にある中、いろんな方が支援してくれている。今季最後の試合では、支えてくれる人たちのために、そういう試合を見せなければいけない」
水谷の想いをぶつける今シーズン最終戦は、11月24日(日)12:30にレベルファイブスタジアムでキックオフされる。
以上
2013.11.21 Reported by 中倉一志
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