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【J2:第35節 東京V vs 群馬】レポート:「練習通り」の中島翔哉のスーパーゴールで、東京Vはプレーオフ圏内がはっきり見えた!群馬は内容良くも、正念場続く4連敗に。(13.09.30)

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また、「試合に出たい!」と、焦燥感を募らせてきた期待の新鋭が躍動し、結実させた。
後半37分、9分前に高原直泰に代わって投入された中島翔哉が、決勝ゴールを決めてチームをプレーオフ圏内浮上へと大きく近づけた。

長い時間、一進一退の状況が続いていた。
先制したのは、東京Vだった。前半19分、左からの飯尾一慶のクロスにニアで合わせた巻誠一郎の“らしい”ヘディングシュートが決まった。「僕とタカさんがフォアとニアを入れ替わったところで相手DFがつききれなかったところをうまく使った、狙い通りの形。タカさんと僕の2トップの関係と、それにチビ(飯尾一慶選手)が関係した、数人の関係で生まれたゴール。僕だけではなく、みんなのプレーの質によってできたゴールでした」巻は自身今季2点目を、パス送者と自分だけの単発な関係ではなく、「たとえ僕がダメでも、ファーにはタカさんがいた」FW2人の厚みをもった連携と、飯尾の「最初ファーにいたけど、巻さんはニアに入ってくるだろうなと思っていました。狙い通り」という、両者が入れ替わることを見越したクロスの、複数者の“共通理解”が生んだ得点であったことを、何よりも喜んだ。

幸先よく先に点を奪い、「そのままスムーズにいきたかった」(巻)が、残念ながらそういうわけにはいかなかった。「ウチは、早い時間に点を取ると、どうしても守りの意識が働いてしまうように思う。つなげるのに、勝っているとついつい楽に前に蹴って、そのまま1点を守ろうとしてしまう」という飯尾の言葉が象徴しているように、東京Vは高原・巻という長身&ボールが収まるターゲットが2枚も前線にそびえるため、中盤を省いてまずは2トップに入れる、という選択をする場面が顕著だったように見えた。
群馬も、前節とはシステムを変えて1トップに据えた平繁龍一に、縦パス一本を通して手数をかけずに一発を狙うという意図は明白で、実際に東京Vのパスミスや攻撃を防いだカウンターから、ビッグチャンスを作っていた。だが、「前半2回決定的なチャンスがあって、それを決められなかった」(平繁)。カウンター合戦のような展開のなか、1−0のまま後半を迎えた。

後半、いきなりゲームは動いた。キックオフからの群馬の攻撃で、青木孝太のボール奪取から、平繁、ダニエル ロビーニョ、青木とつなぎ、青木が東京V守備陣を3、4人を引き付ける。すると、右で完全にフリーとなったのはエース平繁。青木が緑のユニフォームに囲まれながらも、丁寧にエースにボールを送ると、古巣・東京Vサポーターに自らの成長を示すかのごとく、3度目の正直、今度は確実に枠を捉えてみせた。わずか、後半開始30秒のことだった。
同点に追いつき、波に乗ると、その後約20分ぐらいは群馬が押し込む展開が続いた。その中で、瀬川和樹、クォン ハンジン、永田亮太など、決まってもおかしくないビッグチャンスが訪れたが、GK佐藤優也のファインセーブなどもあり、ゴールネットを揺らすことができなかった。この時間帯で追加点を奪えなかったことが、結果として勝敗の分かれ目だったと言えるのかもしれない。
後半17分に安田晃大が入ったのを機に、徐々に流れが東京Vへと移行していった。

そして同28分に中島投入のカードが切られると、迎えた37分、その中島がドリブルで仕掛け、マークについたクォン ハンジンを振り切って豪快に突き刺し、これが決勝点となった。
ゴールした瞬間、真っ先に背番号7の下に駆け寄ったのは14歳年上の巻だった。「巻さんが僕のところにきてくれて、『自分のゴールより嬉しかった』と言ってくれました」(中島)。長い時間、思うように出場機会が巡ってこない中、共に互いの特長を理解し合いながら、トレーニングを積み重ねてきた戦友。「翔哉のゴールは、練習の形そのものだった」日頃のトレーニングの賜物であることを誰よりも知る巻は、誰よりも中島のゴールを喜んだ。
これまでのプレビューでも繰り返し書いてきたが、第32節では巻、翌週での天皇杯では関光博、そして前節は吉野恭平と、それまでなかなか出場機会がこなかった選手たちが、ようやく巡ってきたチャンスで目立ち、しっかりとアピールに成功する試合がここ最近は続いている。その中で、この試合で見せた中島の活躍は、残り7試合で6位・千葉(第35節現在)との勝点4差を詰めるという命題の上でも、よりチームにとって非常に大きな収穫であり、こうした定位置争い激化が切磋琢磨を生む、良い流れになっていることは言うまでもない。中島個人としても、「この試合で、いっぱいボールに触って、自分から仕掛けて、何か感覚を磨きたかった。目標である“世界”へ向けての20分になりました」多くを学んだ20分間だったようだ。
中島の価千金決勝ゴールによって、東京Vは1つ順位を上げ、プレーオフ圏内6位の千葉との勝点差を4とした。だが、「ウチは『ここで』とか『この試合だけは』という大事な大一番に限って負けたり勝てなかったりすることが多い」と、巻は的確に指摘する。次節・愛媛戦こそ、まさに『ここで勝たないと』の、プレーオフ進出に値するチームか否かの進化問われる大事な一戦できっちり勝点3をチーム見上げられるか。J1昇格へ向けた大きな分岐点となりそうだ。

一方、敗れた群馬は、前節とはシステムを変更し、3バックの3-4-3システムで東京V対策をとってきた。前節出場停止だった黄誠秀の停止が明けたが、加藤弘堅ボランチで先発コンビを組んだのは、前節好調の坂井洋平だった。だが、ハーフタイムで坂井から黄へと交代させていることからも、秋葉忠宏監督の思惑とは違う前半となったということだろう。そして、結果として、黄が入ったことで中盤でボールが収まるようになったのは確かであった。加えて、群馬指揮官は夛田凌輔、永田亮太と早い時間に投入する事で、試合の雰囲気を前半とは一変させた。
そうして、ゲーム的には決してどちらが勝利してもおかしくはない一進一退の内容だったが、結果を分けたのは、「ウチも決めるチャンスはありましたが、なかなか決め切れないこと」(秋葉監督)のようだ。そして、そここそが、ここ最近、主導権を握りながらも勝ちきれない最大の原因となっていることは、「(個人として)3本打って1本しか決められなかったのは納得いかない。今日のシュートは3本中3本とも決めなければいけないシュートだったので、決められず責任を感じています」という平繁のコメントからも十分伝わってきた。さらにDF面からしても「内容は悪くなかったかもしれないが、あの最後のシーンでやられてしまうのは、ウチの力がないということ」と、GK北一真も、真摯に受け止める。
これで、4試合未勝利となり、J2残留へ向けてまたひとつ、厳しい状況に進んでしまったが、平繁はしっかりと前を向く。「良い試合をしても結果がついてこない状況が続いてしまっています。でも、やっていることは間違っていません。いま大事なのは、バラバラにならず、チームが1つになること。残留へ向けて、チーム一丸となってまた次の試合で結果が残せるように頑張るだけです」

残り7試合。最後の最後まで、東京Vにとっても群馬にとっても、一戦必勝の日々が続きそうだ。

以上

2013.09.30 Reported by 上岡真里江
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