９月25日から10月17日まで、万博にあるいつもの練習場ではなく、Ｊ-ＧＲＥＥＮ堺での練習が予定されているＧ大阪。その初日となったこの日、10時からの練習には、遠方にも関わらず多くのファンが詰めかけ、賑わいをみせた。

さて、その練習が終わった後のこと。選手、スタッフはあるミッションを敢行すべく、更衣室に戻ってくる長谷川健太監督を静かに待ち…いや、正確には長谷川監督がどのタイミングで部屋に戻ってくるのかが分からなかったため、シャワーを浴びていたり、着替え中だった選手もいたそうだが…監督が部屋に足を踏み入れた瞬間、「ハッピーバースデー！」のかけ声とともに、監督の顔面があっという間にクリームまみれに。Ｇ大阪の監督に就任して初の誕生日を、手荒く、温かく、Ｇ大阪らしく祝福した。

このお祝い、選手、スタッフだけで室内で行われたため、報道陣はその様子を伺い知ることはできなかったが、数分が経ち、ハッピーバースデーソングや笑い声が部屋の中で飛び交った後のこと。まるで、その様子を伝えてくれるかのように、監督がクリームだらけの顔で報道陣の前に登場（写真上）。報道陣から贈られたケーキのローソクをそのままの姿で吹き消すと、「ありがとうございます！清水時代もみんなにお祝いしてもらったことはありますが、こんな手荒い祝福は初めてです！」と笑顔をみせた。（注：正確にはクリームだらけで表情は全く伺えず…あくまで『笑顔』は想像です（笑））。

ちなみに、「顔面にケーキをぶつけてきたのは誰ですか…？」と聞いたところ、「一瞬の出来事でよく分からなかったけど、（FW平井）将生と（FW宇佐美）貴史の姿はハッキリ見えました！」と監督。のちに、選手たちに事実確認をしたところ、先頭に立ったのは「僕が思い切っていかないと始まりませんからね！でも相当、勇気がいりました」とカミングアウトしてくれたＤＦ岩下敬輔。ご存知、清水時代を数えると、チーム内ではもっとも長く長谷川監督と仕事をしてきた選手で、その「敬輔さんがいくのなら僕たちも！」と若手選手が後に続いたそうだ。

また、顔面ケーキの手荒な祝福だけではおさまらず、ＤＦ加地亮の音頭でハッピーバースデーソングを全員で歌い始めると、「ハッピーバースデー、トゥ〜ユ〜、ハッピーバースデー、トゥ〜ユ〜、ハッピーバースデー、ディア、ケンタ〜…」のくだりで、監督と同名のＦＷ星原健太が、なぜかパンツ一丁で登場。「せっかくなので僕の誕生日に、（川西）翔太にもらったパンツでキメて（本人談）」、低めの「ケンタです」の一言で更衣室を爆笑の渦に。さすがは、大阪魂（！？）、しっかりとオチで笑いをとることも忘れず、お祝いを締めくくった。ちなみに、その様子を見ていた、清水時代から長谷川監督と長きにわたって仕事をしている小井戸正亮アシスタントコーチはポツリ。
「大阪は、やる、やるとは、聞いていましたが、ここまでとは予想外でした」
感動なのか、驚きなのか、はたまた、怖れなのか分からない表情で練習場を後にしました。

余談ながら、この日、長谷川監督の顔面に向けられたのは、本物のケーキではなく、パーティなどで使用する『ケーキの生クリームと似たような感じになるスプレーで作った偽物』。クラブスタッフによれば「紙皿の上に、そのスプレーでケーキのような立体的な形を作り、それを選手個々が手に持って一気に四方八方から監督の顔面めがけてグシャっといきました。食べ物を粗末にしてはいけない、とか、今日はＪ-ＧＲＥＥＮさんを使用させていただいていて、床などを汚して迷惑をかけたら申し訳ない…など諸々を考慮した結果、これになりました」とのこと。長谷川監督の誕生日を盛り上げ、はしゃぐ選手たちはもちろん、その影ではスタッフの温かな気配りも感じられた『長谷川監督、Ｇ大阪での初めての誕生日』となりました。

以上

2013.09.26 Reported by 高村美砂