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【J2:第21節 熊本 vs 神戸】プレビュー:2位、神戸をホームに迎え、熊本は連敗ストップなるか。求められるのは、的確な判断と勇気。(13.06.28)

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熊本は前節、群馬に先制を許しながらも一時は逆転したが、後半立ち上がりに追いつかれ、さらに20分後に3点めを許して逆転負けを喫した。順位は17位と後退して20位鳥取との勝点差も2となり、いよいよ厳しい状況に追い込まれている。しかしリーグはまだ半分にさしかかったあたり。今後の残り22試合でまだまだ挽回できる余地はある。前半の締めくくりとなる今節、ホームに迎えるのは、公式戦では初対戦となる2位のヴィッセル神戸だ。

その神戸とは開幕前のキャンプ中に鹿児島でトレーニングマッチを戦い、この時は1本めはそこそこの勝負をして0-0で折り返したが、メンバーを入れ替えた2本めはミドルシュートから1点、その後カウンターから1点を失い、0-2で敗れた。「まだお互いにできあがっていない時期で参考にならない。それでも力の差は感じたし、今もそれは同じ。神戸は個の能力も高いが、チームとして機能し始めている」と吉田靖監督も話すように、あれから5ヶ月弱が経ったがその差は簡単には縮まるものではなかった。

リーグ3位の36得点という数字からも分かる通り、攻撃陣はやはりJ2では突出した力を備えていると言うほかない。2列めからの飛び出しやゴール前での落ち着きでゴールを重ねている小川慶治朗と、前節も直接FKを決める等、長いシュートレンジからも枠を狙えるポポが共にチームトップの7得点。これに6得点の田代有三、マジーニョが5得点と続く。実際にシュート数も多く、バックラインからの安定したポゼッションで相手陣内に運び、ボールを動かしながら隙を作ることを試みて、しつこくそれを繰り返す。トレーニングマッチの際にも感じさせられたことだが、J1経験のあるチームに共通して言えるのは、サッカーに緩急があるということ、そして相手のちょっとしたミスを逃さず確実にゴールに結びつけるしたたかさを持っているということ。前節・長崎戦の都倉賢の先制点、あるいは前々節・栃木戦の小川の2得点も、そうした形から奪ったもの。ここまで3敗しているが17節以降は4試合連続の2得点で首位G大阪とは勝点差2。今節の結果次第では首位ターンの可能性もあるため、神戸としても下位に沈む熊本が相手とは言え、気持ちを引き締めて臨んでくるだろう。

迎える熊本は、「ボールを保持する時間は少なくなる可能性はあるが、リトリートする戦い方は先につながらない」(吉田監督)と、ここ最近の失点の仕方を受けてやや守備に軸足をおいた戦い方になることが予想されるなかでも、あくまで自分たちが取り組んできた形を出すことが狙いだ。今週のトレーニングでは特に守備時のポジションバランスを意識付けたが、前後の距離を間延びさせて相手の中盤に簡単に前を向かせないためにも、「プレッシャーをかけに行くところと行かずにブロックを作るところをハッキリさせる」(矢野大輔)ことが重要。加えて、カバーやスライド等、基本的な対応を徹底させる必要がある。筑城和人は「チャレンジ&カバーのチャレンジの部分をもっと強く行ってもいいと思う」と話しているが、後ろを信じて実際に相手選手が圧力を感じる間合いまで1歩を踏み出す勇気と、アプローチをかける選手を信じさせる声も、同時に不可欠となる。

守備のバランスを欠いている背景には攻撃がうまくいっていないことも関係しているが、「両サイドバックやボランチも積極的に出てくるのは神戸のストロングポイントだけど、裏のスペースは弱点になる」と原田拓が話すように、そうした場面を逃さずにうまく生かし、攻撃を完結させられるか、そのために「勝負どころでMFが長い距離を走れるかどうか」(吉田監督)も大きなポイントだ。神戸は完封のゲームが多く1試合平均1点と失点は少ないが、一方でリードしながら追いつかれた11節の岡山戦、セットプレー等から失点した19節栃木戦と、穴が全くないわけではないし、20失点のうち6割の12点はアウェイで喫したもの。組織としてのバランスを保ちながら1対1の局面ではハードさを失わず、神戸を焦らす粘り強い守備を見せることが第一だが、相手に合わせるのではなく、切り替えからのスピードを生かすのか、あるいはじっくりと組み立てていくのか、攻撃においても状況に応じた選択をしたいところ。試合運びにメリハリを利かせるうえでも、早く正確な判断をしてそれを共有することが必要だろう。神戸は攻撃から守備の切り替えも早いため、ボールを奪ってからの1つめのパスを正確につなぐことも求められる。

原田と田中英雄が熊本の大津高、片山奨典と徳重健太が長崎の国見高と、同級生同士の対決も注目されるが、双方のチームにとっても今後を占う重要な一戦。力の差は確かにあろうが、サッカーでは必ずしもそれだけで勝敗は決しない。クラブの規模や戦力が違っても、同じカテゴリーでシーズンを戦っているライバル。勝利を手にするのは、あくまでピッチの上で相手を凌駕した方だ。

以上

2013.06.28 Reported by 井芹貴志
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