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【J2日記】福岡:Jリーグ20年の記憶〜高野通訳兼コーチの場合(13.05.28)

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(C)中倉 一志

高野通訳兼コーチ

「選手としては無理でしたが、今は指導者としてJリーグに関わらせてもらい、本当に嬉しく思っています。地元のクラブでの活動を通して地元に還元したいという気持ちと、選手として出来なかったことを指導者として実現したいという想いで、頑張っています」
そう話してくれたのは、高野剛通訳兼コーチ。その経歴は、ひときわ異彩を放っている。

出身は福岡のサッカー強豪校・東海大五。しかし、在学中はレギュラーポジションは取れず、試合出場は数試合に留まった。卒業後の1992年にアメリカの大学へ進学したのは語学を身に付けるのが目的で、サッカーは、あくまでもレクレーションだった。しかし、渡米が、自身のサッカー人生を切り開くことになるのだから、人生、何が起こるか分からない。
「レクレーションのつもりが他の大学から誘いがあり、そこへ移ったら、今度はセミプロから誘いを受け、さらに、当時は2部だったシアトル・サウンダースFC(現MLS所属)から誘いを受けて。そうこうしているうちに火がついちゃって(笑)」
話は、まだ終わらない。今度は地元のチームから指導を頼まれ、どうせならとUEFAのA級ライセンスを取得(日本人として2人目)。そして「自分の指導者としての力はJリーグでどこまで通用するのだろう」と思いたって2005年に帰国。サンフレッチェ広島と契約し、高校卒業時には繋がっていなかったJリーグに辿り着いた。

ところで、Jリーグ創成期は、監督をはじめ指導者のほとんどが、選手として実績のある者だった。現在でも、日本のサッカー界と縁が薄い者が、その中に入ることは簡単ではない。しかも、日本のトップリーグとなればなおさらのことだ。
「選手としての経験のない指導者が、トップチームのコーチを務めるのは無理だろうとか、選手上がりじゃないから認められないとか、そういう話は何回も聞きました。けれど、自分の武器を使ってチャレンジすればと思っていたら、広島が受け入れてくれました。Jリークが歴史を重ね、成熟していく中で、海外で経験を積んできた人たちをオープンマインドで評価してくれる環境が出来てきたのではないかと思います」
当時の広島の監督は小野剛(現中国サッカー・スーパーリーグ・杭州緑城ヘッドコーチ)。Jリーグの成熟とともに、小野が、奇しくも高野通訳兼コーチと同じような経歴を持っていたことも幸いだったのかも知れない。

そして、2010年に渡英。ハダースフィールド・タウンFCジュニアユースコーチを経て、プレミアリーグ・サウサンプトンFC・トップチーム通訳、さらには、同テクニカル・アシスタントコーチのポジションに辿り着く。
「真っ向勝負をすればプレミアリーグの方が強いという自負心が彼らにはあります。けれど、その一方で、Jリーグというプロリーグに対するリスペクトも、しっかりと持っています。それは、海外で活躍する日本人選手が増え、プレミアリーグにも、当時はサウサンプトンに李忠成がいましたし、今も香川真司、吉田麻也、宮市亮らがいるからで、そうした選手たちを送り出しているのがJリーグだからです。日本人がプレミアのコーチになるということは、イングランドにとっては、アフリカ人が相撲を教えるようなものですが、それでも門前払いされなかったのは、李忠成と、Jリーグの存在があったからです」
李忠成の助けを受けて、李忠成をサポートして、二人三脚で世界の檜舞台に挑戦した日々。もしJリーグがなかったら、2人は出会うことさえなかったかもしれない。

さて、最後に、これからの目標を尋ねてみた。
「UEFAチャンピオンズリーグまで行きたいですね。そして圧倒的な力を身に付けて、またJリーグに戻ってきたいです。かなり遠い所にあることは分かっています。けれど、5年前には、プレミアリーグも、かなり遠い所でした。でも、意識して行動を起こしていたら辿りつけたんです。これからも、自分の力を試して、あの場所に行きたいです」
そもそも、プレミアリーグへの挑戦は、イビチャ・オシム監督が「ヨーロッパで日本の指導者が活躍することが日本が認められる証になる」と話していた記事を読んだから。その実現に向けて、高野通訳兼コーチのチャレンジは続く。

以上

2013.05.28 Reported by 中倉一志
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