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【J2日記】東京V:自分改造のとき(13.05.27)

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Jリーグとともに今年生誕20周年を迎える1993年生まれの杉本竜士選手。東京Vアカデミーからトップ昇格を果たし、プロ入り2年目のシーズンを過ごしています。新人だった昨季は3試合11分間、今季もここまで2試合4分間(第16節終了時)の出場にとどまり、なかなか試合に出られないもどかしい状況が続いています。高校3年時にはキャプテンとして東京Vユースを牽引し、クラブユース選手権では日本一、大会MVPにも輝いたホープはいま、どんなことを思い、日々を過ごしているのでしょうか。

そんなふうに、改めて杉本選手の近況が気になったのには、実は少しだけ理由がありました。人一倍闘争心が強く、その熱さがプレーにも表情にもストレートに表れているところが杉本選手の大きな魅力だと思うのですが、最近、表情にちょっとした変化を感じるのです。
「最近、とてもよい意味で表情から刺々しさが抜けたというか、穏やかになった、落ち着いたように映ります。なにかご自身の中で変化があったのでは?」
ストレートに質問してみると、
「自分でも最近、考えが変わってきてるなと思う」。どうやら、印象の変化は思い過ごしではなかったようです。

「焦りしかなかったから…」と切り出し、杉本選手は昨季から今に至る様々な心境の変化を本音で語ってくださいました。
ユース時代の輝かしい実績を引っ下げて加入しただけに、すぐに出場機会を得て大ブレイクする自分を思い描いていたプロ1年目。でも、現実はそんなに甘いものではありませんでした。初出場は第5節、わずか1分間。その後は第6節のベンチ入りを最後に第27節までメンバーに入ることすらできませんでした。「同じ1年目で活躍してる選手や、J1の試合でもバリバリやってる選手もいる中、ユースで日本一にもなったのに『なんで俺だけ試合に出られないんだ?なんで?なんで?』って焦りばっかりだった」。その思いに拍車をかけたのが、ユースでは1学年上で昨季は19歳でキャプテンを任されていた小林祐希選手と、わずか3カ月という超短期の期限付き移籍で加入してきた杉本健勇選手の存在でした。クラブでもレギュラーとして試合に出場し、年代別代表にも選ばれていた2人の生まれ持ったとも言えるオーラや才能と、己の現状とを比べ、その差を痛感し、それでもなんとか追いつきたいという必死の思いが焦りとなり、杉本竜士選手を苦しめていました。

そんな杉本選手を大きく変えてくれたのは、チームメイトたちとの会話だったそうです。
「アキくん(秋葉勇志選手/現浦安SC)はJFLで仕事しながらサッカーをやっていた時期もあったし、拓馬くん(阿部拓馬選手/現ドイツ2部アーレン)も大学でサッカーをやっていて、一緒にご飯に行ったり、試合に出られなくてスタンドから一緒に試合を見ながら話すと、みんなしっかり自分の考え持っていた。そういう人たちが『俺が竜士の歳の時には何も考えていなかった。それだけ考えてるのはすごいよ』と言ってくれたり…。そういう言葉が、僕を救ってくれました」
今の自分でも認めてくれる人がいる。そんな心の支えができたことが、無理に尖ることをやめさせてくれたに違いありません。「今はそんな焦らなくてもって思えるようになった。今やっと、自分とじっくり向き合えています」。そう言って微笑む杉本選手の目は力強く輝いていました。
 
「プロ入りの時点で、自分がなっていたい自分と実際になっていた自分とがすごく違っていたんです。プレースタイルではなくて、プレーの完成度とかレベルの話なんですけど、『10』を持ってプロになるはずが『5』しか持っていなかった。昨季はその『5』をどう出すかで必死になってました。でも、今考えれば、僕はその『5』の中で完成した選手になりたいんじゃなくて、『10』の中で完成した選手になりたいんだと…」。自分自身と向き合えたことで、この先の自分の未来像もしっかりと確立されてきたようです。

今季もまだ昨季同様に思うように出場機会は巡ってきていませんが、「今ここで試合に出ることだけに必死になって、『5を出そう』と思ってやっていたら結局は昨季と一緒。もし失敗したと思うことがあっても、昨季とは違うことがしたいんです」。目先の試合出場やベンチ入りに一喜一憂していた昨季とは、受け入れ方がまるで違います。「たとえば点を取るということにしても、ループやカーブのシュート、ドリブルや裏に抜ける動き、得点感覚というのを、本当に深いところでもう1つレベルアップするためのチャレンジをしている時期かなと捉えています」。『5』である自分を、いかに『10』へと引き上げていくか。今の杉本選手の目は、そのことにしか向いていないのです。

「今季は20歳を迎える年で、僕にとっては1つの節目です。でも、今季はまず『10』の引き出しを作って、21歳で試合に出られるようになっていたい。僕はプランとかを立てるのがあんまり好きじゃないんです。そのプランがクリアできなくてネガティブになって焦ってしまったのが昨季。なので今季はプランはありつつ、その結果にいちいちネガティブにならないような強いメンタルでやりたいと思います。そういう意味でも、今は『自分改造』のとき。やりたいことがいっぱいあって、毎日が楽しいですよ」

周囲と自分との比較に躍起になっていた昨季。でも今季、その対象を自分自身へと変えたことが、落ち着きや穏やかさという印象となって筆者には感じられました。目指すところが定まった20歳の充実感ともいうべきものかもしれません。
今は小さな一歩一歩の目標にトライしていると言う杉本竜士選手。「そんなにすべてがうまくはいかないでしょうけど」と挫折も覚悟の上だそうですが、それでもブレずに志を通して抱き続けている大きな夢を成し遂げる姿をぜひ見せていただきたいと、心の底から願っています。

以上

2013.05.27 Reported by 上岡真里江
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