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【AFCチャンピオンズリーグ2013 広島 vs 浦項】レポート:悔しさに満ちた3連敗。それでも、広島のACLはまだ、終わらない(13.04.03)

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敗れてもなお、凛とする。
記者会見場での森保一の風情である。
表情は悔しさでこわばった。声も震え気味だ。「サポーターに申し訳ない」と声を落とした。それでもなお、彼は一言の言い訳も口にしなかった。「どういう状況に陥っても、勝つために闘ってきたし、これからもそれは変わらない。メンバー構成の話になるのかもしれないが、今までの自分の起用に少しの後悔もない」と言い切った。負傷者続出のチーム事情を敗戦の理由にしない。経験が足りない若い選手の起用にも「勝つためのメンバー」と常に語り続けた。

「監督はブレない」
岡本知剛の言葉は、選手への信頼を一貫して続ける森保監督の姿勢を指す。それは、これほどの苦境に立ったとしても変わらない。
だとすれば、あとは選手が結果を出すだけ。それは、岡本自身が強く認識している。「負けたことがもっとも悔いが残る」。22歳のボランチは、あまりの悔しさに表情をゆがめた。後半、バランスをかなぐり捨てて前に出て、チャンスも創った。それでも「自分にもっと、何かができたのでは」という後悔の念が、彼を縛る。
試合後、スタンドからの厳しい声にさらされた石川大徳は、顔を真っ赤にしてミックスゾーンを過ぎ去った。試合開始早々から浦項の左ウイング=コ・ムヨルの攻勢にさらされ、シンプルなワンツーから失点に直結するクロスを許した。59分にピッチを去った後、交代したミキッチが段違いの存在感を見せつけただけに自責の念は強く、痛々しいまでに若者を痛めつける。
左サイドのルーキー=パク・ヒョンジンの表情は、さらに呆然としていた。ボールが収まらず、技術的なミスを連発。得意とする左足クロスも、名GKシン・ファヨンの手中を出ることはなかった。失点シーンも、千葉和彦や水本裕貴がアタックに行った後のカバーリングにもっと早く動いていれば、ペ・チュンソクをフリーにすることもなかった。あまりの悔しさからか、ミックスゾーンでの彼は視線が定まらなかった。

青山敏弘の膝の負傷による交代は、確かに痛かった。森保監督は野津田岳人をボランチに下げ、逡巡なく清水戦で復帰したばかりの高萩洋次郎を中2日で投入。この布陣が機能しないとみるや、野津田と高萩の位置を入れ替え、ビルドアップのスムースさを取り戻した。その成果もあり、後半はほぼ圧倒的にボールを支配し、中央を固める浦項に対してサイドから決定的なシーンもつくった。
だが、1本が出ない。86分、前線のコンビネーションで相手のバランスを崩し、野津田岳人がシュートチャンスを迎える。だが「右に(佐藤)寿人さんとミカ(ミキッチ)が2対1をつくっていた」と見た野津田は横パス。後に「シュートを打てばよかった」と若きタレントは唇を噛み締める。 
後半アディショナルタイム、山岸智がクロスを入れる。ファーサイド、佐藤寿人が競る。こぼれた。マークを振り切り、岡本が前に出る。フリーだ。
シュート!
ビデオで何度見ても、枠を捉えている。GKも届きそうにないコースに、鋭い弾道。だが、そのコース上に石原直樹がいた。ボールはストライカーに当たり、ゴールとは逆方向に大きく跳ねた。青山の負傷も含め、運もない。

浦項は、先週のKリーグクラシックのメンバーから4人を入れ替えた。だが、コ・ムヨルはロンドン五輪アジア最終予選を闘ったメンバーであり、ペ・チュンソクもU-22韓国代表。ノ・ビョンジュンは2009年のACLでMVPを獲得したベテランであり、キム・デホも昨年のACLでゴールを決めている。「彼らもレギュラーとしてプレーできるクオリティを持っている」とファン・ソンホン監督が自信を持つのも頷ける実績と経験を誇る。
だが若者たちがプレーした広島も、全てで遅れをとっていたわけではない。特に後半の反撃には迫力があり、高萩も「外で起点をつくって、そこから中での攻撃もできていた。相手も(広島の攻撃に)困っていたと思う」と手応えを口にした。3連敗という結果の前には言葉を失いがちになるが、全てをネガティブに捉える必要もない。
それに北京国安とブニョドコルが引き分けたことで、残り3試合を全て勝てばグループリーグ2位に入る可能性は残された。広島以外の3チームは勝点5。もし広島が3連勝し、他の1チームが広島以外の2チームに勝利すれば、広島の2位通過が確定する。また、他の2チームが1勝1分1敗となり、広島を含めた3チームが勝点9で並んで得失点差の勝負になるケースもある。広島が勝点9までたどり着けば、勝点10ラインに達するチームは最大1チームしかない計算だ。
アウェイ2試合を含む中での3連勝は至難の業ではあるが、不可能ではない。この3試合で若者たちが積んだ経験に加え、ケガから復帰したファン・ソッコや高萩の存在もある。負傷で離脱中の森崎浩司も、4月下旬の連戦には間に合うだろう。
間違いなく崖っぷちであり、相撲で言えば徳俵まで押し込まれた状況。だが、まだ広島のACLは、終わっていない。諦めなければ、終わらない。

以上

2013.04.03 Reported by 中野和也
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