浦和はここまでの公式戦で4勝1分1敗と好スタートを切っている。内容的にも充実した試合が多かったが、先月30日の新潟戦は多くの選手が「自分たちのサッカーができなかった」と振り返るように、苦しい試合になった。2−0の勝利という結果は相手の決定力不足に助けられた面もある。ただ、危ない場面を作られた序盤を乗り切ったあとは粘り強い守備で勝利への強い執念を覗かせ、新潟の反撃を凌ぎ切って白星をつかみ取った。
攻撃面では多くの課題を残したものの、苦しい局面でも相手に食らいついていく姿勢、球際への強い執着心はチームに勝者のメンタリティが宿ってきたことを窺わせる。「鹿島で何回も優勝してきたけど、内容が悪くても勝点3につなげていくのが大事なこと」。今の浦和で“勝ち方”を誰よりも知っている興梠慎三は力を込めてそう語る。
ACLで決勝トーナメント進出を果たすためには、ホームゲームは落とせない。内容の伴った勝利を飾るに越したことはないが、たとえパフォーマンスがふるわなかったとしても結果だけは譲れない。那須大亮は「浦和らしいサッカーを心掛けながらという部分もあるけど、ホームでは勝っていかないと予選リーグは突破できない」と言い切る。
対戦相手となる全北現代は2006年のACLで優勝を飾り、2011年大会では準優勝と、アジアを代表する強豪チームだ。国内リーグでも近年は好成績を収めており、ここ4年で2度のタイトル制覇を成し遂げている。
ただ、今季もKリーグクラシックでは2勝1分1敗とまずまずの滑り出しを切っている一方で、ACLでは思うように勝点を伸ばせていない。初戦のムアントンとのアウェイ戦では、2度もリードを奪っておきながら終了間際に痛恨のドローに持ち込まれ、続くホームの広州恒大戦でも先制点を決めながら引き分けに終わった。
全北現代は昨季、グループリーグ最終節で柏に敗れて予選敗退という悔しい思いをしている。今季はその雪辱を果たすべく臨んできているはずだが、スタートダッシュに失敗している。それだけに、ここから全力で巻き返しを図ってくるだろう。アウェイゲームと言えども、浦和戦では勝利に向かって貪欲に挑んでくるに違いない。
全北現代のなかでもっとも注意すべきは、やはり李東国(イ ドングッ)になるだろう。Kリーグで数々のタイトルを総ナメにしてきたエースストライカーは昨年も20得点以上のゴールを叩きこみ、リーグの通算最多得点記録を塗り替えている。
李東国は2011年のACLでは得点王とMVPをダブル受賞。そのシーズンにC大阪と3度激突した際には、合計7ゴールを奪う破壊力を見せつけた。去年、柏の一員として全北現代と戦った那須は「トップに李東国とか能力が高い選手が多いので気を抜いたらやられる」と相手エースの名を挙げ、警戒を強める。
浦和にとって連戦の1カ月間がスタートする。4月は週2試合ペースで戦わなければならない過密日程となるが、その初戦となる全北現代戦を制して弾みを付けたいところだ。特に全北現代とは6日後にもアウェイで激突するだけに、まずはホームで叩いて嫌なイメージを植え付ける。
以上
2013.04.02 Reported by 神谷正明
J’s GOALニュース
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