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【J2:第6節 熊本 vs 富山】レポート:熊本は3戦連続ドロー、富山は連勝ならず。ともに勝ちきれず勝点を分け合った一戦。(13.04.01)

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ともに勝点1を加えるにとどまって、どちらにとっても「勝ちきれなかった」という表現がふさわしいゲーム。富山の安間貴義監督が「奪った後の次のパスでミスが起きて、前半は苦しい展開になってしまった」と述べているが、この点は熊本に関しても同じで、試合そのものはお互いにミスも多く、サッカー自体のクオリティが高かったわけではない。しかしながら、お互いが相手のウィークポイントを自分たちのストロングポイントで衝く狙いを持って臨み、しかも双方のベンチワークによって時間を追うごとにパワーバランスが変化していった点では、スコアに反して見どころの多い、面白い試合ではあったと言える。

吉井孝輔や原田拓ら、熊本の選手が「思ったほど相手のプレッシャーは感じなかった」という趣旨のコメントを残しているように、まずペースを掴んだのは熊本である。しかし富山も、ボールこそ熊本に運ばせていた中でも、シュートまでは許していない。7分の先制点も展開に応じた判断から生まれたもの。平出涼からのボールを受けた大西容平が前線へ長いパスを送ると、これに抜け出したのは西川優大。熊本DF矢野大輔の追走を振り切って右足で放ったシュートは、ファーサイドのネットを揺らした。「最近の試合で裏へ勝負しない時間が長かったので、最初はそういう時間を無くして裏を取りに行こうと話していた」という西川は、2分にも熊本のサイドバックが上がったスペースを衝き、ソ ヨンドクのパスに抜け出してシュートまで持ち込んでいる。安間監督が「『DFラインは生き物だ』と選手たちに話している」と明かした通り、その一瞬の隙を逃さずに仕留めたのである。

だが前述したように富山もミスが目立って、以降、流れは熊本に傾く。ただ、熊本もボールは保持できるものの、吉田靖監督がこの試合において重要視していた判断でも遅さも見られ、あるいは富山のアプローチを受けてパスのコースが後ろ向きにズレるなど、「裏への飛び出しのタイミングが合わなかった」(吉田監督)ために攻撃のスピードが上がらず、なかなか決定的な形を作れない。前半最大のチャンスは26分。相手のトラップミスを逃さずにボールを奪い、そのままドリブルで加速した黒木晃平は、DFをかわしてボックス付近まで持ち込むと右足で思い切ってシュートを選択。ボールは富山GK守田達弥が伸ばした右手をかすめポストを直撃して得点にはならなかったが、前半のうち少なかった、ゴールに向かう姿勢を感じられるシーンだった。
迎えた後半、熊本の吉田監督は前線に起点を作るべく高橋祐太郎に替えて北嶋秀朗を投入。一方、富山の安間監督も、前半に見えた「奪ったあとの次のパス」に関して修正を指示し、再び流れを引き戻しにかかる。しかし吉田監督の決断も早かった。63分、原田を下げてファビオをピッチへ送り、富山の守備を混乱させる狙いで中盤をダイヤモンド型にシフト。高い位置でポイントができるようになったことで、藤本主税からの浮き球を北嶋が納めた62分、また片山奨典の低い弾道の早いクロスに仲間隼斗とファビオが飛び込んだ73分など、熊本は両サイドからの形が徐々に増えていく。

そうして同点ゴールに結んだのが77分。自陣から持ち上がった黒木がファビオに預け、右から回り込むようにアタッキングゾーンへ。齊藤和樹とかぶった形になったが、「自分の方がいけそうだった」と判断してリターンを受けると、角度の無いところから右足のダイレクトでニアを打ち抜いた。26分と同じように、長い距離を走ってもきっちり決めた得点は、鳥栖仕込みの運動量を誇る黒木ならではのプレー。しかし、ラストパスを通したファビオがボールを受けた位置が、前半あまり使えていなかった富山のボランチ森泰次郎の脇のスペースだったのは、吉田監督が手を加えたことによる効果が出たものだろう。
その後熊本は養父雄仁を入れて再びボランチ2枚に戻し、富山も苔口卓也を送り出して前にかかる熊本の背後を狙うが、双方とも追加点はならず。アディショナルタイムの90+3分、左コーナーキックからのファビオのヘッドを守田が弾いたところで、タイムアップの笛が響いた。

連勝は逃した富山だが、3月の6試合を終えて3勝1分2敗の勝点10は、昨シーズンの苦しみを思えば素晴らしい数字である。順位は6位に後退したが、得点に結んだ速攻と自陣から組み立てる遅攻の使い分けも含め、「やってきたことが出て」(朝日大輔)いるのは小さくない手応え。この試合ではミスも多かったが、テンポの良いパスワークは選手それぞれが細かいポジション修正をしながら的確なサポートができていることを裏付ける。朝日が言うように精度を高めてムラをなくしていけば、さらに質の高いサッカーを展開していけるだろう。

熊本は3試合連続で追いついてのドロー。順位は上がったが、この3試合はいずれも勝てた、勝たなくてはならなかった内容であることも確かで、勝点で言えば6を失い、2試合負けたのと同じ計算。ゲームを通じてはゴール前のアイデアや最後の部分の精度を欠き、またこれで開幕から6試合連続失点と、攻守に課題を残す。中位以下はまだ勝点差が開いていないが、すでにリーグ戦は1/7を過ぎた。そろそろアイドリングの期間を終え、アクセルを踏み込まなくてはならない時期にきている。

以上

2013.04.01 Reported by 井芹貴志
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