愛媛は開幕戦から2試合続けてホームで戦い、1勝1分とまずまずのスタートを切った。その初戦、山形戦では主導権を握られる時間帯も長かったが、コーナーキックとＰＫで3得点。効率よく得点を重ね、開幕戦で今季初勝利をつかんだ。そして2戦目の松本戦は、主導権を握りながら逆にコーナーキックで失点。それでも石丸清隆監督が目指すパスサッカーの片鱗を見せて同点に追いついたが、フィニッシュの精度や工夫を欠き攻撃面で課題も残った。

新チームの形が見えはじめ、課題も明確になりつつあった前節は愛媛にとって今季初のアウェイ。ホーム開幕を迎えた北陸富山に乗り込み、チームの修正力が試された。ただ、結果を見れば前半のシュートはゼロ、後半もわずかに3本。松本戦のようにパスをつないで富山陣内でプレーする時間帯も作れたが、フィニッシュに繋がらない。前半なら松本翔がドリブルでしかけたシーン、そして後半ならトミッチを起点にサイドに開いた重松健太郎を使い、折り返しに三原向平が飛び込んだ場面ではゴールの匂いもしたが、いずれも単発に終わってしまった。山形戦や松本戦では果敢に狙ったミドルシュートも影を潜め、石丸監督が狙う「相手の嫌がるプレー」はできないまま今季初黒星を喫してしまったといえる。

守備に目を向けても、2試合続けてコーナーキックから失点。相手をフリーにしてしまっているわけではないが、いずれも競り負けてゴールを許してしまった。今節ホームに迎える岐阜は今季まだ得点を奪えていないが、デズモンドや関田寛士、益山司ら高さのある選手も揃っていて注意が必要。セットプレーで先制点を与えてしまうと、岐阜に限らずどうしても相手はリアクションサッカーが狙いやすくなる。そうなると愛媛はポゼッションできても、よりリスク管理に気を配らざるを得なくなり、攻撃のアクションを起こす際にアグレッシブさを失いかねない。そうなれば修正しなければならない、フィニッシュにおける課題のハードルが上がる要因にもなってしまう。それだけに、この岐阜戦で愛媛はなんとしても先制点を与えることだけは避けたいところだ。

一方で、岐阜は前節の群馬戦のように高い位置からプレッシャーをかけることで、愛媛のポゼッションを封じられるか。さらに染矢一樹や杉山新が愛媛の両サイドのスペースを突くことができれば、前節と同じように相手を圧倒することも可能。群馬の3−4−3をしっかり攻略したことも自信になっているはずで、あとは岐阜もフィニッシュでひと工夫できるかどうかがポイントになる。さらに今節は連戦になるだけに、両チームともコンディションを整えられるかがポイントになるし、キャンプでしっかりと走り切る体力をつけられているかも明らかになる。また、中2日のハードスケジュールを考慮すれば、そのフィジカルコンディションを補うベンチワークやチームの総合力も見どころのひとつ。特に愛媛は前節の富山戦で3トップのうち2枚、松本と重松が今季初先発を果たし、交代で赤井秀一と河原和寿が今季初出場を果たすなど、前線で数多くの選手を試している段階でもある。今節もフレッシュな選手を起用して攻守にパワーを持たせることが選択肢のひとつになるはずで、石丸監督の采配も勝敗の行方を左右する大きな要素となってくる。

いずれにしても愛媛にとっては連敗を避けたい一戦になるし、岐阜にとっては早く今季の初勝利をつかみたい一戦。厳しいコンディションの中で勝点3を奪い取るサッカーができるかどうか、シーズン序盤とはいえ、今節は両者にとって今後を占う重要な一戦になる。

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2013.03.19 Reported by 近藤義博