----------
２度のワールドカップ出場経験に、Ｊリーグ通算353試合出場、リーグMVP１回。三都主アレサンドロがＪ史上屈指の名プレーヤーであることはもはや説明不要かと思う。さらには練習に取り組む姿勢やメディア、ファンへの対応、日々の生活態度などすべてにおいて非の打ちどころがない、本物のプロフェッショナルだ。性格は温厚で、ピッチの中ではブラジル出身らしく負けず嫌い。ベテランだけどいじられキャラで、ムードメーカー的な役割もこなす。とにかく周囲の尊敬を集める好人物といえる。
アレさん(あえてこう呼ばせていただく)のエピソードで思い出すのは、とある雨上がりの練習での一コマだ。いわゆる“鳥かご”と呼ばれるボール回しのトレーニングで、滑りやすいピッチに選手たちはボールコントロールにやや苦慮していた。パスをつなぐ際にも細かいミスが頻発してきた頃、アレさんが声を荒らげる。「ちゃんとやれよ！」。ベテランの怒声で選手たちは引き締まった表情に。だが、これだけで終わらないのがアレさんの真骨頂だ。鳥かご再開直後、ケネディがこすりあげるような蹴り方でアレさんへパス。雨でボールが濡れていたこともあって、強烈なスピンがかかったボールをアレさんはトラップミスしてしまった。「スピンがかかりすぎなんだよ！」。大真面目に叫ぶ大ベテランを見て、周囲が大爆笑したことは言うまでもない。鳥かごでいえばパスのつながった数を数えていくうち、38本目になると全員が声を揃えて「38！」(アレさんの背番号)と強調するのも恒例のことだ。ちなみにほかの選手の番号では何も言わない。アレさんの番号だから言うのだ。
つまり何が言いたいかというと、アレさんは愛される人だということである。その存在感は、J1の強豪だろうとJ2だろうと絶対に変わらない。チームメイトの模範となり、雰囲気を良くし、もちろんピッチ内ではいぶし銀のプレーで安心感をもたらしてくれる。
鋭いクロスはいまだ健在。コンスタントに試合に出れば、次々と得点を演出してくれるはずだ。知る人ぞ知る必殺“鬼キープ”は栃木の名物になるかもしれない。ともあれ栃木の皆さん、もう一花咲かせようとしているアレさんをよろしく頼みます！
以上
-----------
★新シーズンの開幕を告げる大会が今年も！★
FUJI XEROX SUPER CUP 2013
2013年2月23日（土）13：35キックオフ／国立
サンフレッチェ広島 vs 柏レイソル
チケット好評発売中！
2013.02.01 Reported by 今井雄一朗
