F東京は開幕から伸ばした連勝が3で止まった。56分に、広島FW佐藤寿人に決勝点を奪われ、そのまま0−1で惜敗。今季7戦目にして初の無得点試合に終わった。
2007年8月29日以来白星がない天敵の術中にはまった。試合後の監督会見で広島の森保一監督は規律という言葉を使った。「選手たちが本当に勝ちたいという気持ちで90分間走って、戦って、チームとしてやるべき規律を持って戦い抜けたことが勝因」と胸を張った。
F東京のMF高橋秀人が試合開始直後からの展開を述懐し、「相手は、あまりタイトにこなかったので楽にサッカーをさせてもらった」と話した。広島は、5+4のブロックでF東京の攻撃を封じた。両ウイングバックが下がって最終ラインには5人が並ぶ。その前には、2シャドーとダブルボランチの4人が横並びになって2つの防護壁を築く。そして、プレスの開始位置を下げてまでよりコンパクトな状態を保ち徹底してF東京のスペースを消した。ボールを保持し続けたのはF東京だったが、肝心な攻撃の始発点であるルーカスへの縦パスはほぼ完璧に押さえ込まれた。広島のブロックの外でパスを回し、アングルを変えて試みても通す隙を与えてくれなかった。MF森崎和幸は「今までなら相手にボールを持たれたときに、焦れていたところもあったが、守る時にはコンパクトに、90分間いい距離でポジションをとることができていた」と、語った。
ただし、広島はサッカーを放棄したわけではなかった。耐えながらも一瞬の隙をうかがい続けていた。それを証拠に、彼らの奪った得点は、広島の個性が存分に光っていた。自陣でパスを繋ぎ、サイドの高い位置までMFミキッチが上がる時間を作ってパスを届ける。そして、ミキッチが推進力を生かしてボールを運び、佐藤寿人がタイミングを計って飛び出す。点で合わせるクロス、仕留める技術をワンチャンスで生かした。得点は、まさに広島本来の姿だった。
広島はこれまでもアウェイとホームで戦い方を変える傾向があった。守備に重きを置く戦いは想定の範囲だったはずだ。しかし、その精度はF東京の攻撃が一本調子に映るほど、より高いものになっていた。2009年から見慣れた光景と、結末も変わることなく完敗でゲームを終えた。
梶山陽平、長谷川アーリアジャスールを欠いた影響がなかったわけではない。「全員がレギュラー」だというポポヴィッチ監督は「レアルや、バルセロナといったビッグクラブであっても中心選手が抜けた場合は、違ったサッカーをすることがある。そういったことを考えても私たちはそうではないことを示せた。常々、選手が変わってもスタイルが変わらないことを目指すと言ってきた。だから私は満足しています」と試合内容を振り返った。意図することは表現できていたが、広島の守備を崩す攻撃はまだ身についてはいない。さらに、F東京は、精度と質を上げることを目指す。貫き通すのか、それとも違った表現方法を身につけるのか。どちらがより強者に近づくのか。試合は決着したが、この勝負はまだ終わっていない。
以上
2012.04.01 Reported by 馬場康平
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