2007年以来、5年ぶりの対決となる。このカードは乱打戦が多い。07年の第15節(○4-2博多球)、第36節(○4-3西京極)を振り返ってもそうだった。
第6節、鹿児島・鴨池。京都VS福岡。期待は高まるばかりだ。
対戦相手の福岡。前節、京都が苦しんだ鳥取に4-0の大勝。鳥取のプレスをかいくぐり、前線の坂田大輔、高橋泰がゴールを重ねた。シュートの数を観ても高橋6、坂田2(後半11分で交代)と、FWの力強さがうかがえる。そして、ボランチの末吉隼也。ボールを奪ってからゴール前に駆け込んで決めているところを観ても、チームとして戦えていることを示している。
京都・大木監督は福岡について「個々の選手の能力が高く、オーソドックスに戦ってくる。前線の二人にボール収まって、そこで時間が作れる」と明かした。(オーソドックスとは、強烈な、このチームならではの特徴、というよりは基本に忠実な、という意味合いが強い)
福村貴幸は「特徴ある選手が多い。前に速い印象がある。前に運ばせない様にしたい」と話す。非常に良いチームだろうが、正直、他のチーム、どこも良いチームだ。町田と千葉、鳥取も、どこも強かった。だから福岡もそうだ。「簡単な試合はない」とは、「どこも強い」ということである。だがそれは、同時に「京都も強い」ということでもある。
迎え撃つ京都。水曜日の練習試合で、前節出場したメンバーも出して意識の確認を行っている。この練習ゲームが非常に良かった。「自分たちはこういうサッカーをやる」という点で迷いが完全に抜け切った印象。チョンウヨンは「(それまでほとんど休みが無かった時に出場停止を受け)逆にリフレッシュできた。(練習試合では、色々とチームとして)意識してやることができた。上手くいったと思う」と自信を口にした。
大木監督は「(前節の内容が悪かったという訳ではないが)チームはちょっとしたことでズレが生じたりすることもあるので」と、前節の試合後の会見で話した「もう一度自分たちが帰る場所」に戻したことを明かした。
練習試合で持った印象はまさにそこで、「京都らしく」仕掛けることのワクワク感を再確認させてくれた。間違ってはいけないのが、これで「勝てる」ということではない。駒井善成が練習後、強烈にプレスに来る相手について即答した一言、「そやけど、そこを外さなきゃ面白ないし」―、ということである。
強敵・福岡との一戦へ。京都、非常にいい状態で準備は整った。
前節、出場停止だった中山博貴がスタンドで観戦した感想を聞かれて「勝って良かったと思います」と一言だけだった。「内容よりも勝って欲しいと思っていましたから」と。
天皇杯の時もこんな雰囲気だったことを思い出す。「自分たちのサッカー」を呪文の様に繰り返し、気持ちでは「勝たないと先がない」という一心だった。勝たないと―、その思いが「相手がどこだろうと自分たちのサッカー」「目の前の一戦のことだけ考える」「自分のプレーに集中する」と研ぎ澄まされていった感じである。
勝利への貪欲さ、強欲さ。一勝への執念。何が何でも勝ちたい。勝てば、もっと勝ちたい、まだまだ勝ちたい。天皇杯はそんな雰囲気に満ちていた。そこに「俺たちなら出来る」という自信が重なる。それが好転した。中山の一言がそれを思い出させてくれた。
「京都のスタイル」はそこが原点だ。「勝ちに行く」。どこが相手だろうと、どんな状況だろうと、そこしかない。
いよいよ大一番。当日、鹿児島では雨はないとの予報。コンディションは桜島のご機嫌次第か。勝利への執念とそれぞれのサッカーのスタイル。見どころの多いゲームとなりそうだ。
以上
2012.03.31 Reported by 武田賢宗
J’s GOALニュース
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