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【J1:第3節 柏 vs 清水】レポート:清水のアグレッシブなプレスに苦しめられるも、終盤のセットプレー2発でゴールをこじ開けた柏が勝負強さを発揮。逆転でリーグ戦初勝利を飾る。(12.03.25)

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広島戦でも清水の前からプレスを仕掛ける姿勢は見受けられたが、前節以上にその意識が強いように感じられた。大谷秀和、栗澤僚一のダブルボランチへの素早い寄せはもちろんのこと、最終ラインでボール持つ時でさえも余裕を与えず、清水はアレックス、大前元紀、高木俊幸、河井陽介、小野伸二らが連動して圧力をかけ続ける。そのため柏はビルドアップを展開できず、中盤を省略して前線へ長いボールを蹴り込むだけとなってしまった。そのセカンドボールもことごとく清水に支配され、2次攻撃、3次攻撃を浴びる苦しい展開が続く。

前線からの激しいプレス以外でも清水の戦いぶりは見事だった。レアンドロ ドミンゲスとジョルジ ワグネルのブラジル人コンビに対しては、両サイドバックがそれぞれタイトにマーキングし、即座に複数人が囲い込んで彼らの妙技を封じた。「今日はジョルジの調子があまり良くなかった」(ネルシーニョ監督)と、前半終了と同時にワグネルがベンチに下がったことは、そういった局面のせめぎ合いで清水が優位に立っていた何よりの証明である。

したがって、主導権を握っていた清水に先制点が生まれたのは必然の結果。サイドの攻防で優位に立ったからこそ、押し込んだ末に右サイドの高い位置でセットプレーを得た。38分、李記帝の蹴った左足インスウィングのボールを、ニアへ入った岩下敬輔が頭で軌道を変えて先制点を決めた。

前節の広島戦でも感じられたのだが、先制後の清水の試合の運び方には若干の課題があるように思う。変わらず前から奪いに行きたい前線と、ある程度陣形を落ち着かせて相手を前におびき出し、手薄になった背後をカウンターで突きたい中盤から後ろの意図が噛み合わなかったのだろうか。確かに「球際、セカンドボールのところに強く行こうとハーフタイムに話した」(栗澤)と柏が修正してきたことも一因には挙げられるが、「後ろは引いて、前のほうは高めにやっていて、中盤がけっこう空いてしまった」(村松大輔)と話した通り、前半は清水が圧倒していたセカンドボールの優位性は、後半に入ると柏の方へ傾いたのである。

ただ、柏がリズムを取り戻した理由はそれだけでない。まずワグネルに替わって投入された澤昌克が、DFラインとボランチの間でボールを受け、シンプルにパスをさばき出すと前半では機能不全に陥っていた左サイドに活力が蘇る。さらに、レアンドロと工藤壮人のポジションを入れ替えることで、「レアンドロのマークを外す意図をもって彼を中に入れて、右サイドでプレーしている彼が中に入ると、彼を見つけて捕まえるまで相手の守備が崩れていた」(ネルシーニョ監督)と、清水守備陣のかく乱を生み出し、綻びの糸口を作り出した。52分と59分に訪れた、澤のタメから橋本和の突破、そしてレアンドロのシュートという2度のシーンまでは、その狙い通りの形。だが、いずれもゴールには至らなかった。

柏に押し込まれた清水も、やはりゴトビ監督が動く。「今は60分の体」(ゴトビ監督)という小野に代えてジミー フランサを、そしてボールをキープする意図から小林大悟をピッチへ送った。しかし裏目に出たのか、ジミー フランサの高さとパワー、小林のキープ力と展開力を期待しての交代だったが、アレックスを2列目に下げ、高木が退いたことによって前線の推進力がより損なわれたようにも感じた。

グイグイと圧力をかけ続ける柏は、清水陣内深い位置でファウルを誘発し、好位置でのセットプレーを獲得する。81分、右サイドでのFKからゴール前中央の混戦の中、増嶋竜也がこぼれ球を詰めて同点とすると、86分にもレアンドロの蹴った左サイドのFKに対し、絶妙のタイミングでニアに入った増嶋が逆転ヘッドを突き刺す。「1試合2ゴールは高校時代以来」という増嶋の2ゴールで、柏が逆転勝利を飾った。

前半は清水がペースを握り、後半は柏が押し返すという、前後半でガラリと展開が変わる試合だった。これには双方に収穫と課題がある。清水は前半のアグレッシブなプレッシングは脅威だっただけに、リードした後に安定したゲームコントロールができれば、これからの上位進出は堅い。今回は敗れたとはいえ若い選手が多く、チームの成長は十分に見込める。

一方の柏は、ディフェンディングチャンピオンゆえに対戦相手の徹底マークを受けるため今後も苦戦は必至である。それを跳ね除け、自分たちが主導権を握る戦術的な幅をもう少し広げたいところだ。ただ、最後の最後で相手の守備をこじ開け、苦しみながらも逆転に持ち込んだ“勝負強さ”というメンタリティーは、大いに評価したい。

以上

2012.03.25 Reported by 鈴木潤
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