第18節F東京戦、試合終了間際、左サイドからのクロスのこぼれ球を拾った村田翔が正確なコントロールで相手をかわして、左足を一閃すると、ボールはゴール左角に突き刺さった。F東京相手に1点差に詰め寄る貴重なゴールであり、村田にとって記念すべきプロ初ゴール。同時にそれは、村田からの“恩返し”でもあった。
F東京U−18出身の村田と常盤聡。2人ともトップ昇格を果たすことができず、大学4年間を経て、昨年プロの世界に這い上がってきた。そして、ついに“古巣”との対決が実現したのだ。
「特別な試合です」。ともに強い気持ちを持って、試合を迎えたのであった。
そんな2人を温かく見守っていたのが、F東京の長島裕明コーチだ。2人のU−18時代の監督であり、村田にとってはF東京U−15時代の監督でもある。
「長島さんには本当にお世話になりました。僕はかなりだらしない性格だったんだけど、私生活の面までかなり厳しく指導してくれました。だから、今の僕があると思ってます。今でもちょくちょく電話をくれるんですよ」(常盤)
「小学生時代から長島さんにはお世話になっています。U−18時代、かなり期待してもらっていたんですけど、応えられなくて。すごく悔いが残っています」(村田)
と、各々恩師への思いを語った。そして、F東京戦前、2人が口にしたのは、「長島さんに成長した姿を見せたい」ということであった。
試合開始からエンジン全開で挑んだ2人。F東京に2点を先制されても決して下を向くことなく、戦い抜いた。常盤は途中交代となってしまったが、村田はフル出場を果たし、一矢報いるゴールを決めたのであった。
試合後、長島コーチは「村田がああやってゴールを決めたこともよかったと思うし、常盤も張り切ってプレーしていました。対戦することができてよかったと思います」と感慨深い表情を見せた。
長島コーチにとっても、この一戦は特別な一戦だったという。「今日の試合はリーグ戦の中の1試合なのですが、個人的にすごく楽しみにしていた試合。こうやってかつて教えていた選手たちとプロの世界で対戦できることは指導者冥利に尽きますね。指導者を続けてきてよかったと思えるゲームの1つとなりました」
そして、水戸でたくましく戦う2人を見て新たな可能性を感じたという。
「2人ともU−18からトップに上がれればよかったし、その可能性はあったんだけど、昇格することができなかった。でも、そういう悔しい経験を彼らは生かしているなと感じます。2人ともすごく頑張り屋。人生って順調にいくことなんてそんなにないんですよ。でも、2人ともハードルを乗り越えて、コツコツ努力を続けている。大学を出て、こうやってプロの世界で戦えているのはその証拠です。本当に偉いと思いますね。これからも水戸でコツコツ努力して、もっと上を目指してやってもらいたいと思います」
5年半ぶりにピッチで再会を果たした3人。だが、これで終わりではない。Jリーグという舞台にいる限り、これからいろんな形で再会を果たすことだろう。そのたびに村田と常盤は長島コーチが驚くほどの成長を遂げているに違いない。まずは次の対戦(11月12日)。今度は勝利して、成長を証明したい。
以上
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2011.06.28 Reported by 佐藤拓也
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