「今日はフリーマーケットですから。あ、これはオシャレで使ってる靴（＝スパイク）です」（藤吉信次コーチ）。

11月28日の第37節・熊本戦がラストゲームだった北九州。29日には新スタジアムの建設予定地に近い北九州市小倉北区のアジア太平洋インポートマート（ＡＩＭ）で早くもシーズン報告会が開かれ、サポーターと選手や監督たちが交流を深めた。報告会の主役はやっぱり与那城ジョージ監督、藤吉信次コーチ、水原大樹選手。チームの独特な雰囲気を作ってきた人たちは今日も元気だった。

冒頭で登壇した横手敏夫社長は「不本意な結果を本当に申し訳なく思う。フロント、役員もＪ２で戦えるチーム作りをしてきたかと猛反省している」と沈痛な顔で話した。チームの今後については「（新スタジアム完成までの）５年間でＪ２で戦え、新スタジアムでＪ１に上がれるチームを作る」と述べ、「夢に向かって歩こうではありませんか。よろしくお願いします」と呼びかけた。

与那城ジョージ監督は「真の仲間というのはこういう（苦しい）ときに見えてくる。選手たちは常にベストのコンディションを整えて試合に臨んでくれ、チーム全体が一つになっていた。選手たちとみなさんのおかげです。４年間ありがとうございました」。キャプテンの佐野裕哉選手は「期待に応えられなかった。選手一同、真摯（しんし）に受け止め、来季に生かしていきます」と話した。

その後、選手の私物が当たる抽選会やサイン会が行われ、いよいよ主役たちのパフォーマンスが全開。

まず抽選会で笑いを誘ったのは藤吉コーチ。ほかの選手が練習着など1、2着程度を持ってきたのに対し、藤吉コーチは「フリーマーケット」と自ら話すほどたくさんのグッズを持ってきた。グッズは練習着やスパイクだったが「結婚式に着ていったもの」「オシャレでジーンズに合わせてた靴」などと話して会場を沸かせた。佐藤真也選手は「ネット通販で買ったけどサイズが合わなくて」というスパイクを持参し、こちらも大受けだった。

サイン会では選手たちにメッセージ入りのボードやフラッグをプレゼントするサポーターの姿も。ユニフォームをかたどった手作りのボードに佐野裕哉選手や宮川大輔選手らは「すげぇ」と言ってメッセージに見入っていた。

最後に再び監督と選手たちがステージ上に集まり、水原大樹選手があいさつに立った。水原選手は「えー、手は気にしないでください」と言って、手を前に出しカンペを読むようにして「まだまだこれからのチーム。これからも応援をよろしくお願いします」。でも実はカンペなど持っておらず、またどっと笑いが起きた。
これに触発されたのが与那城監督。報告会を締めくくる際に、水原選手を真似て手を前に出し「手は気にしないで、えー…」。

与那城監督には選手全員のメッセージが入ったフラッグも贈呈。選手を代表して大島康明選手が「４年間ありがとうございました」と話して手渡し、与那城監督と抱き合ったいた。

しんみりした時間もあったが、報告会は総じて笑顔の花が咲いていた。還暦の与那城監督をジャイアントスイングするくらいのチーム（詳細はこちら）なので暗い雰囲気はやっぱり似合わない。苦しくても笑顔。与那城監督たちが作ってきたこの雰囲気を大切にしながら、来季に向けたチーム作りが動き始める。

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2010.11.30 Reported by 上田真之介