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【J1:第14節 川崎F vs 大分】レポート:主力選手の欠場が明暗を分ける。(09.06.21)

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6月20日(土) 2009 J1リーグ戦 第14節
川崎F 2 - 0 大分 (15:04/等々力/19,375人)
得点者:26' レナチーニョ(川崎F)、61' レナチーニョ(川崎F)
スカパー!再放送 Ch183 6/23(火)21:00〜(解説:相馬直樹、実況:土井敏之、リポーター:杉山真也)
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 試合前日夜に帰国した鄭大世の欠場は想定の範囲内だが、中村憲剛がサブメンバーからも外れていたのには少しばかり驚かされた。というのも川崎Fは、来日が遅れキャンプに合流できなかったジュニーニョがチームによる出場停止処分を受けており、さらにケガによってヴィトール・ジュニオールと寺田周平を欠く事が決定的な状況になっていたのである。そこに代表2選手の欠場である。つまりレギュラークラスの選手が5人同時にメンバー外になったわけだ。

 川崎Fにとって危機的な状況にも思えたが、この陣容について伊藤宏樹は「キャンプの時からやってきていて覚悟はできていました」と話し、主力不在の布陣を想定した上で準備を進めてきていた事を明らかにしていた。そして実際のところ、北海道キャンプではこの日の先発メンバーを軸にコンビネーションを固めており、チーム内にやれるという手ごたえはあったのだという。

 その一方で、予定外の事態に見舞われていたのが大分だった。原強化部長はリーグ戦再開に向けてベストメンバーを組める体制を敷いていたと話すが、今週の練習中に高松大樹やエジミウソン、金崎夢生といった選手が負傷し、ベストメンバーを組めない状況に追いやられたのだという。主力メンバーの欠場を織り込んでいたチームと、それが予定外におきてしまったチームとでは自ずと試合内容に差が出てしまう。90分間を終えた結果が、この両チームの立場を如実に示していた。

 苦しい状況ではあったが、それにしても大分が立ち上がりの15分間に見せた試合運びは悪いものではなかった。梅田高志、宮沢正史の2選手が中盤の底に構え、ここに鈴木慎吾と高橋大輔とが絡む守備は十分な堅さをみせていた。うまくボールをつなげず、攻めあぐねる川崎Fに対し、大分がペースを作れた時間帯でもあった。梅田はそんな立ち上がりの内容の良さについて「大分が良かったというよりは川崎Fが悪かったように感じました」と話していたが、それはまさに主力5人を欠く川崎Fがみせていた収まりの悪さだったともいえる。

 この試合の行方を決めるシーンの一つに前半の12分の大分の攻撃がある。高橋がドリブルで川崎F陣内に切れ込み、スルーパス。これに反応した鈴木がラインの裏に飛び出してGKとの1対1になる。コースを狙ったシュートはしかし、川島永嗣のファインセーブに阻まれ、チャンスを決める事ができなかった。

「最初、エイジさんが止めてくれてあれで流れが来ました」と胸をなでおろすのは、欠場した中村の役回りを任された養父雄仁。気負わずにやるために「楽しんでやろう」とした試合は、立ち上がりに「大事に行き過ぎた」事もあって、思うように流れを作れずにいた。だからこそ、大分の先制のチャンスは試合の行方を変える可能性を秘めた大きなものだった。

 序盤のピンチをしのいだ川崎Fは、大分の足が止まるのにつれてペースを掴み始め、試合を支配するようになる。大分が中盤に築いていたブロックを避けるべくサイドを使い始めたのも効果的だった。時折織り交ぜるカウンターで大分ゴールに迫り始めると、26分に試合が動く。大分のゴール前でシュートブロックしていた選手が倒れ込んだ場面。レフリーは笛を吹かず、プレーは流れる。大分の選手はそこで試合に集中し切れなかった。

 森勇介からのパスを受けた養父は「狙って出した」というスルーパスをレナチーニョに通す。ディフェンスラインの裏に抜け出したレナチーニョは、西川周作の指し伸ばした腕をかいくぐるゴールを流し込んで、川崎Fに先制弾をもたらす。この失点で気持ちが折れたのか、ここから川崎Fが試合を一方的に進める事となる。

 1-0で折り返した後半に谷口博之の前線への飛び出しが目立つようになるのは、ボランチもできる養父がトップ下からポジションを意図的に落とし、前方のスペースを空けていたという事情もあった。その養父はよりプレッシャーの少ないエリアでボールを受けてゲームコントロールに専念。森にボールを預けて右サイドからの攻撃を促す場面が増えていく。養父、谷口に横山知伸を含めた中盤の3人の流動性の高さが得点につながったのが61分の場面である。右サイドに流れた横山がFKをもらうと、森がその横山にパス。浮かせた弾道のアーリークロスは、オフサイドラインをかいくぐったレナチーニョの頭にどんぴしゃで合い、この日の2点目となる。

 この日の試合内容であれば2点はセーフティーリード。そうした気の緩みが選手に出たわけではないのだろうが、川崎Fは試合時間残り20分ごろから大分の攻勢を受けるようになる。大分の69分の清武弘嗣の投入がスイッチになったという側面もあるのかもしれないが、77分の家長昭博からのクロスはファーに走り込んだウェズレイに。しかし、川崎Fはシュートミスに救われる。

 単発ではあるが、時折鋭さを見せる大分の攻撃を跳ね返しつつ、川崎Fも交代出場の選手たちが見せ場を作る。特にスタジアムを沸かせたのが、この試合がプロデビューのピッチとなった登里享平である。ふくらはぎをつらせた山岸智に代わり、86分にピッチに立った登里は、その直後にファーストタッチシュートを放つなど躍動感をほとばしらせるプレーを披露。わずか4分+ロスタイム4分のプレー時間で2本のシュートを放って見せた。大分の反撃を守りに入る事で封じるのではなく、攻撃的に跳ね返した関塚監督の采配が際立つ終了間際の攻防だった。

 結局試合は2-0のまま終了。川崎Fがリーグ戦中断前からの連勝を4に伸ばし、選手層の厚さを証明して見せている。

 一方の大分はけが人の影響をもろに受けたという事情もあるのだろうが、思い通りの試合運びを見せられず。直前まで用意してきた3バックシステムをこの試合に合わせて急遽4バックに変更してもなお敗戦。ちぐはぐさはぬぐえず、リーグ戦での連敗を引き分けを挟む事のないまま11に伸ばしてしまっている。

以上

2009.06.21 Reported by 江藤高志
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