3月21日(火) 2006 J1リーグ戦 第4節
川崎F 2 - 2 F東京 (16:04/等々力/14,191人)
得点者:'39 谷口博之(川崎F)、'63 ジャーン(F東京)、'74 川口信男(F東京)、'85 中村憲剛(川崎F)
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立ち上がりから両チームとも流れが悪かった。
川崎Fにとっては前節の手痛い敗戦を払拭したいという思いが強かったが、その前節の敗戦の理由の1つとなったマルコンが出場停止処分で不在となっており、攻撃力の低下は免れない状態だった。
対するF東京の現状はさらに深刻で、中盤でパスは回すのだが、チャレンジという要素に欠けたポゼッション重視の内容に偏っており、崩しにかかる場面は少なかった。また「勝つため」にササ サルセードをベンチからも外したガーロ監督だが、代わりに入った馬場憂太が中盤の低い位置にまでポジションを下げる場面が多々見られ、これが2トップに対するフォローの薄さにつながってしまった。強いて言うなら、ハーフライン付近から逆サイドの前線の裏側へ長いボールを蹴り込んでポイントを作り、そこを起点としたサイド攻撃に可能性を見いだしていたようだった。ただしそのチャレンジも、川崎F守備陣は対応できており、試合を決定付ける効果的な崩しとはいいがたいものだった。
立ち上がりからファールが多かった事もあり、また両者の試合内容の乏しさが相乗効果となって、特に序盤の試合展開はおもしろみに欠けるものとなってしまった。
ただ、そういう試合にあって、川崎Fは谷口博之が縦方向にポジションを崩して攻撃に加わる場面が散見され、それが攻撃にアクセントを付ける形となっていた。川崎Fにとって中盤の選手の縦方向でのブレイクの必要性は、それを実際に試合の中で行うかどうかは別問題としても、前節の甲府戦とこのF東京戦を通じて共通認識となったのではないかと考える。
リズムを掴めないまま、前半の終盤を向かえていた川崎Fが、39分に「今季初」(関塚隆監督)というセットプレーからの谷口の得点で先制。流れを掴むかに思えたが、その直後の43分にリチェーリが足を痛めて負傷退場。代わってピッチに立った川口信男がリズムを生み出すことになる。ハーフタイムを挟んだ後半、スピードを生かした縦方向への突破でたびたび右サイドを突破して川崎Fの守備陣に圧力をかけ続けた。
その流れの中で後半63分にジャーンがFKでのボールを頭で叩き込んでまずは同点。ホームで負けられない川崎Fの気持ちが前にかかっていたその裏をかくように74分には鮮やかなカウンターをしかけ、最後は川口がカバーに入ったDFとGKをかわして逆転ゴールをねじ込んだ。
F東京はジュニーニョとマルクスを徹底的にマークして完全に良さを消していたが、84分に「90分の試合から離れていた」(ガーロ監督)宮沢正史に代えて増嶋竜也を投入。ジュニーニョのマークに付いていた伊野波雅彦を宮沢のポジションに上げ、フレッシュな増嶋と役割を交代させた。その直後。増嶋にとっては交代出場後のファーストプレーの事だった。
85分。交代出場で右サイドバックに入っていた米山篤志からジュニーニョにクサビのパスが入る。増嶋のプレッシャーもあって、ジュニーニョは前を向くこともキープすることもできなかったが、フォローに入っていた中村憲剛にダイレクトでボールを落とし、前に走り込んだ。あっという間の出来事。川崎Fは中村→ジュニーニョ→中村とつなぎ、同点ゴールが生まれた。
ここから川崎Fが怒濤の攻めを見せたが、ペナルティエリア前で獲得したFKの場面も枠に飛ばすことができず、両者痛み分けの引き分けで試合を終えている。
以上
2006.03.22 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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